コロナの感染拡大が続くなか、国の方針はコロコロと変わっていった。だが、これは批判しているわけではない。今までになかった疫病と闘っているのだから、その都度、対処が変わるのは仕方のないこと。例えば、高齢者は感染後の重篤化・死亡率が高いことから、ケアセンターをはじめとした高齢者施設では家族との面会は制限されてきた。ところが、最近は面会がないために入居者が寂しくてノイローゼや鬱（うつ）になる人が増えているという。そのため、ノイローゼ問題とコロナに感染する危険性、この2つの観点から今後は面会を謝絶しない方向に変わった。他にも、小中学校の修学旅行が相次いで中止となっていたが、文科省は子供を育てるという長期的な観点から、中止ではなく延期や実施を検討するよう10月に教育委員会に声明をだしている。このように、現状に合わせて国の方針が変わるわけだが、これに対して、「前はこう言ったじゃないか」と文句をいう人がいる。この人は、もし国が方針を変えなければ、もっとひどい状況になることを理解していない。
なぜ仕事が辛くなってしまうのか
居酒屋は今ガタガタだ。大手外食を筆頭に居酒屋から別業態への転換が相次いでいる。しかし、これも業態転換をしているだけで成功しているわけではない。どうすれば生きていけるかを模索し手を打つ。打つ手を毎日変えている状況だ。
業態転換をするとどんな問題が出てくるか。一番はヒトの問題だ。居酒屋を焼肉屋に業態転換するとしよう。焼肉屋に変えるなら、店長を“居酒屋”の店長から焼肉屋の店長に育てなければならない。しかしこのご時世、ゆっくり育てる暇はないから、トレーニングはするが店長には「自分で工夫改善しながら取り組め」と指示をする。すると次はどうなるか。工夫改善するということは、1日に何度も「これでいいですか？」と上司に確認する状況が発生するとういことだ。しかし工夫改善とは“今”を否定するということ。店長もいろいろ考えて工夫改善するんだけど、今までやったことがない領域の仕事だから、店長の考える工夫改善は的が外れていたり、突拍子もないことが多い。だから上司もOKは出さない。しかし、これまで平穏無事に過ごしてきた店長は、分かってはいても毎日工夫しては否定され続けるとストレスがたまっていく。辛くなっていく。そして、ついには仕事を辞めてしまう。でも、これが一番もったいないんだよね。今、辛いと思っているのは、今までやったことがない領域の仕事をしているからだ。これを乗り越えられるかどうかで自分の成長が変わってくる。辛いよ。辛いけど「もうだめだ。」と逃げてしまってはもったいないということだ。工夫改善するということは、自分の能力開発や経験を積む上で本当はありがたいチャンスだ。
一方で、経営者にとっての“逃げ”とは工夫改善を止めること。工夫改善を連続してやることに慣れていない経営者は、2～3個の改善をしただけで“やった気”になっている人がいるから要注意。このコロナを、ただ辛いだけの経験にするか、ありがたいチャンスだと思いトライを続けるか。経営者も従業員もこのコロナに正面から取り組んでいって欲しいと思う。逃げてしまってはもったいない。
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乙丸千夏（テンポス広報部）
