「社員の幸せの追求」と嬉しそうに話すビジネス界の青年たちよ、世の中そんなに甘くない!

 「本質が大事。」よく聞く言葉だよね。商品に磨きをかけるとか、お客様に喜ばれる商品を開発することは、商売をしていくうえで非常に大切なところだ。商売の本質とはそういうところを指している。しかし本質を語るときは外してはいけない条件があるんだ。それは、「儲かっているか。」

商売において「儲ける」とは、人間でいえば血液で、その健全な血液が流れていなければ死ぬ。だから、儲けていない人が本質の大事さを語ると全部、綺麗ごとに聞こえてしまう。商売は儲けのためだけにやっているんじゃない。だけど、綺麗ごとばかり言っている人は商売人じゃないよ。ただの青年だ。素晴らしいと手をたたいて応援はしてあげるけど、そんな子供とは一緒に話をする気にはなれないね。

「社員の幸せを考える会社」を掲げる会社がたくさんあるよね。しかし、社員の幸せを第一にする、なんて綺麗ごとを恥ずかしげもなく言う気にはなれない。そんな事は、口に出した途端に色あせた陳腐なお題目になってしまう。そんな当たり前のことを嬉しそうに話すのも、まだ世の中を知らない青年と同じだ。

コロナでマスクが配られたとき、不要なら他の人にあげればいいのに、「マスクが小さい」と文句を言うひねくれた人がいるように、社員の中にもひねくれた人はいる。そういう人がいるから、社員のためと考えた施策も、そのひねくれた社員には伝わらなくて上手くいかない。だから、「社員の幸せを第一に考える」なんて言っているのではく、「あれもこれもやった。だけど、ほとんどうまくいかないよ。」こういう会話ができる経営者と話したいものだ。

スカイラークの創業社長の横川さんに会ったとき、俺なんかとは格が違うと感じた。横川さんの話は、本で読んだような知識をひけらかすのではなく、自分がやりあげて体得してきたものばかりで説得力があった。横川さんが積み上げてきた実績は、データに裏打ちされた非常に合理的なものばかりだ。しかも行動量が圧倒的に多い。

社員の幸せのために、「あれやっています」「これやっています」と嬉しそうに話しているビジネス界の青年たちよ。もっと実験を繰り返して、それを体得できるくらいやり抜いてみてくれ。そこに社員の幸せを大事にするとは何か、本当の意味が見えてきます。

裏切られた時は「そういう出方をしましたか」と思うだけ

「社員を幸せにする」という話に戻るが、これは大事なことだけど、社員のために行動してもそれに応えてくれる社員は少ない。

ある経営者の右腕の社員が、具合が悪くて1週間休みをとった。そこで、オーナーが代わりに経理をするのだがどうも数字が合わない。14年も勤めてくれている部下だ。疑いたくはなかった。しかし結局は1000万円も横領していたことが分かった。警察にはつき出さなかったが、横領した部下の親や妻にもこのことを知らせた上で、全額返すことで決りがついた。オーナーはがっくりとしていたよ。自分が引退したら店を任せようと信頼していたんだからね。だが、世の中にいる通り魔しかり、裸で踊りまわって迷惑行為をする人しかり、その人を知る周囲の人間は「まさか、あの人がそんなことをするなんて」と言うだろう? どんな人間でも裏切る可能性を持っている。だから、もし「社員を幸せにする会社」を目指すなら、裏切られることもあると分かった上で、幸せにするためのいろんな仕掛けをしていかなければならない。「あいつが、あんな事をするなんて」と思っているうちは、まだ世の中をなめているよ。裏切られた時は、「あちゃ~そういう出方をしましたか!」と思うだけである。

神様だって、スケベな一面があるはずだ

店の金を横領した人が「二度とやらない」と誓ったのに、また横領する人がいるだろ? 謝ってきた時は本当に二度とやらないと思っていたけど、いろいろ都合があってまた横領してしまったのもしれないし、ただ単にその場を切り抜けるだけの嘘だったのかは本人しか分からない。だが、このような事例をたくさん見ていくうちに、信用できる人間か、信用できない人間かの判断ができるようになっていく。たくさんの出来事を経験するうちに、「この人はおかしいな」と見きわめる力、いわゆる「眼力」がついてくるんだ。

「15年で40億もの借金を返済した」というキャッチコピーで注目を浴びていた企業が気になって調べたことがあった。だが、どう考えておかしい。30店舗の飲食店が15年かそこらで40億を返すには、どの店も月商3千万円はないといけない計算だ。しかも、「全員経営」「従業員の幸せ」を謳っていたけど、借金を返済した後は会社を売却している。借金を返したなら、思いっきり全員経営をすればいいし、返済に充てていた資金で従業員の幸せのための仕掛けもできたはずだ。この綺麗ごとを並べた返済物語を真に受けて聞いていた人達は、真実を判断する力を身に着けて欲しいと思う。

どんなに偉い人や、尊敬されている人も、本当はスケベな性格なのにそれを表には出していないだけだよ。その人達が綺麗ごとを言うのは、そういう場であるから言っているだけで、本当はだらしない部分や、情けないところがあるものだということを理解しておく必要がある。それができなければ、まだまだ青年の域から脱することはできないよ。

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記者:スマイラー特派員
乙丸千夏(テンポス広報部)