他人の目を気にせず「自分らしく生きる」とは smiler vol.46

前号から引き続き私が人生の中で大切にしていることをお話しします。自分はどんな人生を作り上げていきたいか、そんな事を考えながら、読んでみてください。平成最後の親父の小言をお届けします。
自分らしく生きるとは

人は、自分の思いや考えを大切に自分らしく生きていきたいと思う一方で、他人と自分を比べ人を羨ましく思ったり、自分を良く見せようと取り繕う生き物である。

例えば、部下が失敗して損害金50万円を支払う事になったとする。それを、店長は自分の責任として会社に報告する前に、その部下の出した損害金を立て替え、会社に損を発生させないようにした。部下の不始末だからと自分を犠牲にしてまで責任を取るという姿勢は、「責任の取り方」においては100点に値するだろう。(内容によっては「そうか、お前が償え」という会社ではいけないが)。責任を取るときの考え方として、どんな不始末を起こしたかを会社に報告し、公にした上で自分はこんな責任を取りたいんだという意思を通すのは、一つの「自分らしさ」と言える。しかし部下のため、会社のためにと自分が損害金を立て替えたとしても、その事を会社に報告しなかったり、内容をごまかして報告する等、取り繕うようであれば、それは「自分らしさ」では無い。自分の意思で行動するという点は同じであるが、自分の都合や立場、損得を優先させて行動することは「自分らしい」ではなく「自己中」である。「自分らしさ」と「自己中」は似ているが、「自分らしさ」という言葉は、自分の行動をごまかしたり、取り繕うときに使う言葉ではない。

人間は自分の中に、良い自分と悪い自分がいて、いつも両者が争っている。良い自分が勝つ事が多いと「良い人だね」と言われ、悪い自分が勝つ事が多いと「嫌な人だね」と言われるんだ。しかし、善も悪も両方持っているのが自分なんだと開き直ってはいけない。

ブランド物を見せるな、有名人の名前を出すな

自分を良く見せたいためにブランド品を集める人がいるが、「高いもの持っているんだ。すごいね」と思われたいために集めているのであれば、それはただの愚か者である。兄弟が医者だ、弁護士だと話す人、有名人の名前を出す人も同じだ。自分はこんなすごい人と知り合いなのだと自慢するのは、自分を良く見せたいと取り繕っているからだ。「素敵なシャネルのバッグね」と言われたなら、「ありがとう」とだけいっておけばいい。

人を羨んでしまうのは、「自分らしさ」とは何かが分かっていないときだ。どんな時に怒り、どんな時に嬉しいと感じ、幸福だと思うのか、自分はどんな人間かを知る必要がある。「自分らしさ」を持っていれば、給料が低くても地位が低くても自分を取り繕うこともなくなる。そして、「自分らしさ」をいつも心掛けていると、豊かな生き方が出来るようになってくる。それが出来るようになると、人を羨むという事も無くなる。

くだらない事で褒められたらそれが自分のレベル

人間にもいろんなタイプがいる。何も努力をしないタイプと、目標に向かって努力するタイプだ。大半の人は前者に当てはまるが、後者のタイプは努力や挑戦の動きをすることで、自分らしく生きる“グレード”が高くなっていく。グレードが高くなることで、人からくだらない事で褒められたりすると、「あんな事で褒められているようでは、自分もまだまだだな」と思うようになるんだ。努力をしないタイプは、くだらない事で褒められても嬉しくて、それが今の自分のレベルだという事に気付かない。

しかし、「自分らしく生きる」グレードを高めていく方法もある。「EQ」という言葉をご存知だろうか? 一般的に「IQ」は頭の良さを表す知能値数のことを指すが、「EQ」は、自分の感情をコントロールし上手に人付き合いができたり、相手の気持ちを理解できる“心”の知能値数のことを指す。「EQ」の能力の中で、一番大事な要素は『自己認識』だ。自分とはどんな人物かを出来るだけ正確に把握できるかどうかで指数が測られる。具体的には、どんな時に自分は喜ぶのか、落ち込むのか、幸福を感じるのか、それらの感情の変化を把握できているほど「EQ」の指数は高くなる。2つ目は負の感情をコントロールする『自己規制』の能力だ。会議中に頭に血が上ってもトイレで少し時間をつぶせば、気持ちがおさまるときがあるよね。怒りを感情のままに相手にぶつけてしまいそうな時に、自分で制御できる人ほど「EQ」は高い。3つ目は、自分をやる気にさせる『動機付け』の能力だ。4つ目は、『共感』の能力が挙げられる。先の3つは自分の内面の感情に関することだが、『共感』は相手の気持ちを汲み取る能力だ。離婚して半年経った親友に会ったとする。彼女が「やっとゴタゴタが片付いて、一人になれてせいせいした」と言いながらも、そのものの言い方から離婚の傷が癒えてないことが分かる。この時、共感力の低い人は、「一人になれてせいせいした」という言葉をそのまま信じて、「楽になって良かったね」としか言わないが、そんな事を言う人と話しても、彼女の傷は癒やされない。IQが高く学業の成績が優秀でも、人生に成功する人と、つまずく人が出てくるのは「EQ」に差があるからだ。IQが高いだけでは、人生のピンチやチャンスにはほとんど役に立たない。

人生を成功させるために重要なポイントは、自分がどんな人間かを知ること、自分のマイナスの感情を制御しコントロールできること、自分自身を動機付けできること、そして相手を理解し共感する事である。これらの能力を高めていく事で、良好な人間関係を作り、日常生活や仕事において成功や幸せを得られるようになる。

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smiler46号 森下篤史

(記事:オト)