いてての法則 最上級難度 人生から意味を問われる

火事で燃えてしまい、女房の実家に頼み込んで金を貸してもらい、よっぽど小さくなったとは言えふた部屋の家が建った。
家族4人でストーブで焼いた餅を分けあって、新年を迎えた矢先、38才の働き盛りで、脳梗塞になり3ヶ月ののち、右手右足がほとんど麻痺して使えないまま退院となった。
会社で配慮してくれた仕事は、元バリバリのエリート社員には考えられない「倉庫番」
定年退職した70才のじい様のやる仕事。
とは言え仕事をさせてもらっているだけでもありがたいものと思わなくてはならない。
会社を立て直したやり手社員、将来は社長の声も上がっていた。
それが、明日のない毎日リハビリに4時間
いつかまた走れるようになる事を夢見て、クタクタになるまでリハビリに励んでいる。
6ヶ月経ち1年経って、回復の兆しもない。
次第に気力も失せてきて、生きているもの苦痛になって来る。
ある日病院に呼ばれて 女房は膵臓癌の末期で、余命半年だと宣告された。
倉庫番を4時間、リハビリに4時間、それから毎日女房の病院に2~3時間過ごしてから家に帰る。
6年生の娘の作ってくれた飯を食べ終わるのは、大概11時を過ぎている。
程なく妻は死んだ。
娘との会話するまもなくなって1年、中学になった途端、家に帰らなくなって何ヶ月も経つ。
警察に呼ばれて娘を貰い下げに行った帰り道。
生きる気力もなくなって、嫌がる娘の手を引いて、線路に飛び込んだ。
身体が不自由な自分はつまづいて、娘だけが列車に轢かれてバラバラに散らばった。
もう一度飛び込む気力もない。ワーワー突っ伏して泣くだけ。

この時人生の意味を問われる。
この人はのちになって、使える片腕で書道の大家になった。
自分で選んだ道でなく、過酷な境遇にある人は、努力を超えて「最上級難度」のいててという。

いてての法則の上級難度と最上級難度の違い
最上級難度は、「人生とは何かではなく、人生から意味を問われる」レベルである。