仲間と抱き合い涙するような組織作りは必要か(smiler57)

「陽はまた昇る」という映画を見たことがあるだろうか?

この映画は、1970年代の高度成長期時代、カラーテレビの台頭とともに家庭用ビデオの誕生が望まれる中、衰退しかかっていた弱小メーカー「日本ビクター」のビデオ事業部の成功までを描いた映画だ。主演の西田敏行は事業部のリーダーを演じている。

この映画を見て、今のテンポスグループに足りないものは、困難を乗り越えた時、仲間と一緒に肩を抱き合い涙を流するような、そういう状況になっていないことが、当社の問題だと感じた。

この映画は、「日本ビクター」が背水の陣においても、家庭用ビデオ「VHS」を仲間と一緒に作り上げ、ソニーに勝利するという話だ。しかし、「日本ビクター」は投下資金も少ない上に人材の層も薄く、その中でソニーに負けないビデオを開発することは並大抵のものではなかった。資金も技術力もない日本ビクターを、早々に見限って離れていく社員もいた。経営幹部からは赤字改善のために大量のリストラを指示され、さらに最悪なことに通産省からは、国内の家庭用ビデオの規格統一を表向きの理由に、暗に開発を止めて、ソニー方式に統一しろと言われる等、風あたりは強かった。

それでも日本ビクターが諦めずに続けられた理由は、中心人物の西田敏行が火の玉のような人間だからだ。どんなに社内から反感を買われようと、周囲を巻き込み困難な中でも突き進んでいけるリーダーだったからだ。だからこそ最後には、仲間と抱き合い涙し喜びあえるチームを作ることができた。

しかし、西田敏行のようなチームをつくることは簡単なことではない。登山に例えれば、「高尾山」のような小さな山でも登れば体は疲れるし、頂上に着いて仲間とビールを飲めば、一緒に達成感だって感じられる。だけど、肩を抱き合って泣くほど達成を喜ぶほどにはならない。これと同じで、今テンポスグループは、300億から1千億グループにしようとか、子会社それぞれを上場させようとか、困難な目標を立ててはいるけど、実際には達成したときに仲間と泣いたり喜び合えるほどの動きはできていない。これでは、目標を達成することはできないよ。上場は、運やチャンスもあって初めてできるもので、努力だけでできるものではない。その時の外部環境とか、時に恵まれたものがあって上場できる。だから、並大抵の努力では叶えられないんだけど、子会社の社長は、それを自分のものにしていないというか、並大抵のものではないということをあまり感じていない。口先では簡単に上場を目指すとは言うけれども、腹にストンと落ちてないんだよな。

「上場するなんて大変な目標を持ってしまった」、子会社の社長にそう思ってもらえないのは、俺に西田敏行のような悲壮感が無いからだ。俺は通夜の喪主をする時でも、ちょっと笑いをとろうと考える。笑っておちゃらけようとする人間なんだ。だから辛いできごとに見舞われても、西田敏行のように心を奮い立たせて立ち向かうような悲壮感漂う雰囲気に持っていけない。俺にはそれが足りないから、チームが抱き合って泣いて喜びあえるような組織にするためには、どうすればいいか研究しなければならないと思った。

だけど、最近考えが変わってきたんだ。

俺の周りには、苦労して生きてきた人でも、悲壮感を感じさせずに成功している人がいるんだよね。

知り合いの女性社長は子供のようなけ顔をしていて、いじけたところが何にもない。本当に明るい顔をしている。だけど10年前は、脳梗塞で半身不随になった旦那の代わりに、システム会社を経営しながら、仕事終わりに入院中の旦那と、別の病院に入院している義母のところに行く生活をしていた。病気も突然のことだったから、いきなりシステム会社15人の社長をするんだ、相当なプレッシャーだったと思うよ。しかも1歳と3歳の育児もしていた。だからか、夜に家に帰ると玄関先に菜っ葉とか芋とかが吊り下げているんだ。近所の人が心配して、おかずとかも置いてくれるんだって。大変だったと思うよ。でも、本人は今も本当に明るい表情をしているんだよな。今までの辛さをまったく顔に出していない。

貧乏な家庭に育ってきた人もそうだ。小さいころから朝5時に起きて新聞配達をしたり、畑仕事をしていると、周りの人は、あの子は可哀想だと思うだろう。だけど本人にとってはそれが当たり前で、家族で助け合うことは大事だと教えられなくても、当たり前に家族と助けあって生活する。だから、大変な時、その苦しさをバネに成長する「日本ビクター」の西田敏行のような人もいれば、大変な状況にあっても、大変なことが当たり前すぎて、それを辛いとも思わずにやってのけてしまう人がいるということだ。

俺は今まで、「日本ビクター」の映画のように、本当に苦しいことを乗り越えるためには、仲間と抱き合って泣けるくらいのチーム作りが必要だと思っていた。だけど、そう考えることはやめることにした。子会社の社長と話して、従業員と一緒に悲しんだり苦しんだりしながら、最後には泣けるチーム作りをしたい人は西田敏行のようにやればいいし、そういうのが好きでないなら、別の仕掛けづくりをしながら、ゴールに向かっていけば良いことにする。どちらのコースで進むにしても、俺はそれを応援する役回りをしていこう。

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