偏屈な高齢者と、若い店長

テンポスは定年が無いので、高齢者が、30%いる。
高齢者と言っても、前歴は様々。ダイエーの元店長が頑張って、1年で店長になった。
全店員と個人面談をしたら、ダイエー時代だったら、とても会えないような経歴の人が食器を洗ってた。
その人は余生を楽しみながら、広い店内を健康管理の為に小走りで、14000歩を目標にしている。
自分で洗った食器が良い値で売れた時は大変嬉しい。ダイエー時代とは違ったやりがいがあり、
体重が6キロも減り、血糖値も下がって、医者が不思議がっていたそうだ。
前歴が勲章で、若い店長に高いところ目線で物をいい、それだけならまだしも、自分勝手だったりすると、
店長の言うことを聞かないので、統制の取れないことになってしまう。
彼らは前職が人生の全てであるので、なじむより、前の職場を持ってくるので、規律の徹底が図りにくい。
失敗した若い店長。
店長は立候補制なので意欲があれば、立候補演説と質疑応答により、店長になることができる。
主なパターン。
やる気があって、個人の実績も申し分ないのに、自分のエネルギーだけでやろうとすると、

一人で疲れ果て、終いには体に変調をきたしてしまうタイプ。
権力を勘違いして、ヒトラーになってしまい、パワーハラじみたことをしてしまうタイプ。
共通しているのは、人と一緒に仕事をすることの理解が浅く、

「みんなでやろう、」 にもっていけなかったことによる。
若い店長教育。
人と一緒にやることに慣れていない上に、使いにくい年寄りがいっぱいいる店では、高齢者教育と平行して、

「年寄りと仕事をするには」 というテーマで店長研修をすることにした。
①  話しかけろ

趣味は何ですか、休みは何をしてますか、なんて聞いてはいけない。
だてに、歳を食ってるわけではない。 そんな質問をしようもんなら、

「なんだ、年寄りとコミニケーションでもとる研修をうけたか!」と見破られてしまうのが落ちだ。

話しかけろーーーーー話の中に入れてもらえだ。

「昨日おとといと、兄弟で、北海道へいってきたよ。」

「北海道ですかぁ」
「函館の朝市に、行ったらよ、うわさほどやすくなかったよ。」
「安くなかったですかぁ」
「安いものもあったが、ほとんどのもんは、やすかぁなかったなぁ」
「ほとんどですかぁ」
「だから、地元の人で、買う人はいないって、タクシーの運ちゃんが、言ってたよ。」
「ほんとですか!」  「てめぇ、俺がうそを、言ってるって言うのかよ。」
1、、、、、話の最後の言葉に、「ですか」をつける。調子づかせるために、時々、「凄いですねぇ」

打ち切りたい時は、区切りのよいところで、「社長さん!すてきぃ!」と言う。、、、、あれっ?
2、、、、、ほんとですか  は言わない

②  ほめるな

年上相手に絶対ほめてはいけない。ましてや年寄りには。

世の中も知らない年端も行かないおまえらぁに、ほめられてたまるか!

年寄はいじけているんだから、安っぽくほめられると、馬鹿にされたと思ってしまう。

ほめるなーーーーーー感心しろだ。またぁ、へでもないようなことを感心しては、ばれるぞ!
③  教えてもらえ

昼休み、飯を食いながら、健康の話、きのう皆で行った飲み屋の話、

おもいおもいに、グループができ、話に、花が咲く。
「この日曜日、多摩川に鮎つりにいってきた。」
「鮎つりですか?」 なかなか質問の仕方もなれて、良い調子だ。
「そうよ、最近では、多摩川も、鮎がつれるんだ。」
「多摩川でですか?」
「多摩川といったって、府中のあたりまで、行かないとだめだけどな。」

教えてもらえが、頭にある店長がここがチャンスと、「鮎つり教えてくださいよ。」
「くださいよだとぉ、教えてもらう人の言うことばかぁ、よぉとは何だ、よぉ、とは!」
「誰が教えるかぁ、タメ口きくんじゃぁねぇ」
親爺は偏屈なんだ。お前の見え透いたものの言い方に、かちんときた。
教わりたいわけでもないのに、調子を合わせるだけで、物を言いやがって。
そういえば、俺が話しかけてくれるとでも、おもったか!
本当に教わりたかったら、鮎つりの本でも買ってきて、毎日毎日読め、2冊目も、毎日読め。

テーブルの上に置き忘れたお前の本を見て、やろう、まだ見え透いたことをしてやがる。

親爺は頑固だから、理解なんか、してくれない。
鮎つりをしたければ、竿をかって来い。週末一人で、多摩川に行って来い。

昼飯の時、親爺のいない時に多摩川に行った話をする。

しまい忘れた竿を取りに来ると、お前がへたくそに付けた釣り糸がきれいになっている。

「武田さん、糸をなおしてくれたんですね?」   「直してねえよ。」
休み時間に、お前は言う。「今度は、府中のあたりに行ってみようと、おもうんだぁ」
武田  「素人が、やったって、うまくいくもんか、来週ついて来い」
親爺に認めてもらうっつうのは、こんくらい面倒なんだ。
そんなジジイだけじゃなく、ババアまでいるんだから、そこらのコミニケーションの本で付け焼刃で、
人間関係を作ろうったって、旨くいくもんかね!
次は婆さんと、仲良くする話だが、今日の、研修はこれまで。