額に汗して働く人が一番偉いが評価が低い時もある

額に汗して働く人は“積み上げる”才能を持ち、損得勘定で働く人は“合理的に動ける”という才能を持つ。しかし、その才能を活かすも殺すも本人次第。本号では仕事をする上で、皆さんに心掛けて欲しいことを伝えたい。

額に汗して働け

働き方改革とやらで、額に汗して働くとか、労を惜しまないとか、泥まみれになって働くとか、そんな働き方は周囲からよく思われない。反対に、臨機応変に仕事をする“目端の利くタイプ”が現代のスピード社会には重宝される。しかし、この“目端の利くタイプ”とは、効率的に仕事をしているように見えるが、実際はひたむきに働かず、やみくもに効率を追求しているだけ、という人が多い。大事な下積み時代に「積み上げる」ことが疎かになるから、40歳、50歳になっても、口だけでたいした結果を出せない人が多いのだ。本物になりたければ労を惜しまずコツコツと何かを積み上げるという経験を避けてはいけない。

現場で動け

テンポスは今、年商一千億円企業に向かって進んでいるわけだけど、俺は今でも全国59か所の臨店を欠かさない。先月は神奈川県の店を回った。川崎店の店長は26歳、社員は新卒が1人と、あとは60代が5人とパート社員が店を回している。このメンバーで今後川崎店はどうしたら効果的に数字をあげられるか、どんな動きが必要かの打ち合わせをした。
一千億を目指す企業なら、社長が一店舗の売上をああしよう、こうしようなんて時間の無駄だと思うかもしれない。だけど、俺の考えは違う。一千憶企業に向かってМ&A戦略や、海外戦略、財務戦略等、役員やグループ会社の社長と作戦を立てる一方で、額に汗して働くという精神で自分が現場に行きお客さまや従業員がいる現場にいって本当の動きをみてれば次の手を打つことができる。だから、人を集めて会議をしては、やたら戦略と言う言葉を使いたがる中途社員を採用したりすると大変だ。そういう奴にかぎって現場に行って朝から晩まで働くということはやらない。社長っぽい動きばかりするんだ。
ここで言いたいのは、額に汗してひたむきに働くということが大事だということだ。ただし、額に汗して働く仕事のほとんどは収入や評価があがるような仕事ではない。タイトルにある「額に汗して働く人が一番偉いが評価が低い時もある」というのは、効率的な動きをしていないという観点でいえば評価は低いという意味だ。しかし、額に汗して働くというのは、将来の会社の発展にすごく価値のある働き方だということを忘れないでくれ。

損得勘定で働くな

額に汗して働くことが嫌いな人は、いかに手をかけないで効率的に成果がでるかを考えて動く。そういう人は目端も利くから、仕事を任せれば、短期で成果も出してくれる。しかし、働く動機が、自分の収入を上げるため、評価を得るためなら、そんな仕事は今すぐやめなさい。仕事は成果を出さないといけないものだから、効率的に働くことは正しい。その工夫や成果は顧客満足に繋がるだろう。しかし、損得勘定で仕事をする人は、その姿勢が上司には丸見えだ。「あ、こいつは評価のために動いているな」ということが分かるから、上司は面白くない。また、お客様に喜んでいただくという観点ではなく、自分が損をしないように、自分が得をしたいがために仕事を続けていると、いつか化けの皮がはがれてお客様は離れていくよ。
つまり、仕事は儲けないといけないけど、儲けるための仕事をしてはいけないということ。儲けることはゴールではなく、長期的にお客様に喜ばれるとか、長期的に社員が喜んで働ける職場にするとか、業界内で「あの会社は良い会社だと言われるようになる」、そんな目標を叶えるために、効率だけではなく額に汗して働くことが大事ということだ。

自分の才能を殺すな

実は、損得勘定を持つことがダメなことばかりではない。損得勘定で動く人は「どうすれば自分が得するか?損をしないか?」を子供の頃から繰り返し体得してきているから、大人になっても効率的で効果的な動きができる。これ自体はすごく価値があるよ。合理的に動けるという才能だ。だけど、この価値を一瞬で崩すのが、「これやって、私の収入いくらになるんですか」「私の地位はどうなるんですか」だ。これを言った途端に、今までの価値ある行動はすべて台無し。だから損得勘定を忘れて仕事に取組みなさい。自分が得するだとか、自分が評価されるかだとか、自分の給料はあがるかだとか、そんなこと一切考えてはダメ。もともと効率的に成果を出せる能力があるんだから、損得勘定を捨てて仕事に取り組めば、自然と評価も収入も後から付いてくるよ。損得勘定を持ち出した途端に、自分の才能を殺してしまわないように、気を付けてくれよな。

関連記事

▶smiler vol.44 中小の飲食店が目指さなければならないこと
▶smiler vol.45 自分の人生を作るのは自分自身である
▶smiler vol.46 他人の目を気にせず「自分らしく生きる」とは
▶smiler vol.47 人間関係を築ける人と築けない人、自分の感情をコントロールする術とは
▶smiler vol.48 集客ができない!騙された!仕事のピンチの乗り越え方
▶smiler vol.50 前向きに生きるか後ろ向きに生きるかは自分次第smiler vol.50
▶smiler vol.51 すべてに感謝することが幸せになる一番の近道
▶smiler vol.52 価値ある人生を送るために今日一日をどう過ごすか
▶smiler vol.53 明日の自分を作るために 仕事にどう向き合うか
▶smiler vol.53 明日の自分を作るために 仕事にどう向き合うか
▶smiler vol.54 指摘するだけ 「言うだけの人間は要らない」 自分がリングに上がれ

記事:乙丸