身体がよろこぶレストラン「筋肉食堂」創業から現在のコロナ禍での新しい取り組みまで深掘り

TANPAC株式会社 谷川 俊平氏

インパクトのある店名とコンセプトで、日々筋トレに励むトレーニーの心を掴んだ「筋肉食堂」。2015年に1号店をオープンして以降着実に店舗を拡大。コロナ下で始めた中食事業は1カ月で数千食を売り上げている。筋肉食堂の創業から現在、そして目指す姿とは。TANPACT株式会社のマネージャー、谷川俊平氏にお話を伺いました。

たどり着いた飲食店の価値

近年寿命は延びているが病気は一向に減らない。それはなぜなのか不思議に思っていたという谷川氏。また、10年間パーソナルトレーナーとして活動する中で、体づくりのためには食事が重要なのだと切実に感じていた。「筋肉食堂」をオープンしたのは、食事を通して体づくりや健康になれる食の場を提供したいと思ったからだ。

今でこそメディアに取り上げられる人気店ではあるが、全てが順風満帆だったわけではない。オープン当初は、胸肉やささみ等、トレーニー向けの尖ったメニューを提供していた。しかしリピートに繋がらない。体づくりを目的としたお客様はランチには毎日来てくれるのだが、ディナーの方が繋がらないのだ。そのため、試行錯誤しながら少しずつメニューを変え、現在は“筋肉”のための食堂ではなく、“美味しくお肉が食べられる食堂”へと姿を変えている。ボディメイクのための「ムネ肉ステーキ」や、つなぎを使わない「牛赤身肉のハンバーグ」等のプレートメニューは主役のまま、ディナーではお酒やサイドメニューを豊富に用意した。“罪悪感ゼロ”と打ち出した飲み放題付きのコース料理は女性客をはじめ幅広い層に利用されている。谷川氏は、「オープン当初のメニューは、悪く言えばギスギスしすぎていたと思います。僕らはジムを運営しているわけではありません。筋肉食堂の使い方はお客様それぞれ。体づくりのためでもいいし、皆でワイワイ美味しいお肉を食べるお店として使ってもらってもいい。でもベースは“高たんぱく低カロリー”のメニューですから、罪悪感無く食事を楽しめるという点が、僕たちが提供できる価値なんです。」

“罪悪感ゼロ”と打ち出した飲み放題付きのコース料理は女性客をはじめ幅広い層に人気

8月4日にオープンした「渋谷MIYASHITA PRAK店」にて。お通しはプロテイン。クセが全くない。

コロナを乗り越えるために

コロナにより店舗の売上は昨対で2~4割減少した。一方でテイクアウトやデリバリーの注文は急増したという。注文がピークになったのは7月8月だ。背景として緊急事態宣言が発令された4月から飲食業界全体でデリバリーの需要は増えたが、出前のものは脂っこい料理が多い。そのため、次第に出前に飽きてきたお客様がさっぱりしたもの、健康的なものを食べたいということから、筋肉食堂のテイクアウト・デリバリー注文が増えたと考えられる。一時期、Uber Eatsの注文だけで、1ヶ月に200名の新規客を獲得していた。Uber Eatsが日本に参入した2015年頃から加盟はしていたが、これほどまでの変化は初めてだという。

5月に開始した中食事業「筋肉食堂DELI」も好調だ。高タンパク、低糖質、低カロリーメニューを5食セット3980円(税込)で自宅に配送している。「筋肉食堂DELI」は、デリバリー疲れの人、自宅でも手間をかけずに健康的な食生活を送りたいニーズとマッチして開始1カ月で数千食を売り上げた。

中食事業が好調。開始1カ月で数千食を売り上げた。11月には工場を拡張

ー谷川氏

「いずれはやりたいと思っていた中食事業をスタートできたのは、ある意味コロナのお陰ともいえます。外食ができない一方で、リモートワークなどで健康への欲求が高まり、これまでになかった外食の利用のしかた、食生活を改善したい人に僕たちの料理を届ける。しかもそれは全国の人に届けることができる。健康的な体づくりのひとつとして、子供から年配の方まで日常生活の中で、当たり前にタンパク質をとる食事習慣を日本のスタンダードにしていきたいと思っています。人生100年時代と言われている中で、99.9歳まで自分の脚で歩いて、健康寿命を伸ばす。「筋肉食堂」はそんなふうに人生の密度を濃くするブランドになりたいと思っています。 “筋肉食堂”を通して、誰もが健康で過ごせる社会を作り上げていくことが今の僕たちの目標です。」

#取材協力
筋肉食堂 銀座コリドー店
東京都中央区銀座7-2の先216号室
TEL:03-6280-6829

記者:スマイラー特派員
乙丸千夏(テンポス広報部)