【名古屋 トラットリアゴリアテ】だんなさんは悪役 奥さんは善玉でも、思いは一緒だからうまくいく

名古屋の繁華街、栄エリア。その名古屋駅と栄の中間地点、伏見にある「トラットリアゴリアテ」は飛騨古川産の“みなと牛”が食べられることで評判の、愛知県で唯一のお店だ。
「ゴリアテ」とは旧約聖書に出てくる巨人の戦士の名前だそうで、なんとなくご主人のイメージに合っている!?

夫・杉浦仁彦さん;飲食チェーンで店舗開発と新業態開発を担当し、2016年に独立開業

「なんでさっきのお客さんにデザート出さなかったんだ!」ご主人の仁彦さんが怒鳴りつけた。「いいじゃない、隣に移ってもらっただけなんだから」と奥さんの清美さんも負けずに言い返す。「ゴリアテ」ではお昼休みという限られた時間内に一人でも多くのお客様にご利用いただけるよう、お食事中でも席の移動をお願いすることがあるという。その場合、デザートをサービスするのがお店のルールなのだ。
「オレはわざわざあのお客様のためにデザートを用意していたんだぞ」「なによ、いつもはこっちが言ってから用意するくせに」。そう、この夫婦はお互い気が強いのである。

夫婦で飲食店経営ゴリアテチャンネル

頑固で話が通じない。話し下手ですぐに喧嘩になる。そんな「トラットリアゴリアテ」夫婦がコロナ騒動の前に始めたというYouTube「夫婦で飲食店経営ゴリアテチャンネル」から面白い会話を拾ってみよう。
夫:普通のマインドでは飲食はやれない。
妻:あんたも、めちゃくちゃ変わっているよね、料理人としてはいいけど、家族を大事にするところが、欠落している。
夫:いろいろあるけど、夫婦関係にトドメを刺すのはバイトに手を出したとき。でも解決策は簡単、自分が太って醜くなればいいんだ。
妻:でも、あなたがスタッフから嫌われているのは、あなたの性格よ!

大切なのは、情報を発信し続けること。もうすぐ協力金もなくなる。これからが飲食店の正念場だと語る、トラットリアゴリアテ夫婦。
妻:これまでは、協力金や仲間に支えられてきたけど、これからが正念場
夫:だけど、たいへんなほうが燃える、よっしゃーって感じ。
妻:だれに、どういう立場で言ってるの?
夫:飲食店やってる、すべての人に言いたいんだ。お店始めたとき、お客さんは誰もいなかった。借金しか無い状態で頑張っていた、あの頃に戻ったと思えばいいんだよ。
妻:借金もちょうどオープン当時に戻ったもんね。

妻は思わず呟いた

今から6年前、開業から二週間が過ぎた頃だった。突然社員の一人が「辞めたい」といい出した。「チョット待ってよ。今辞められたら店回んなくなっちゃう」とりあえずもう少し様子を見ることになったのだが、その後も採用する後から社員がどんどん辞めていく。おかげでお店のスタッフは日替わりランチのような状態が続いた。
「原因は仁彦さんの気合が入りすぎて、空回りしていたんです。さらに私が飲食の経験がなくって、常に“お客さんだったら”と考えて、スタッフに理想ばかり言っていたんです。」

夫は胸の内を語った

店の舵取りをする夫の仁彦さんは、“飲食店は部活だ”と考えている。「飲食店は、毎日試合をしているようなもの、利益が出た日は試合に勝利したと考えるんです。」
試合に勝つためには、お客様に楽しい時間を過ごしていただかないといけない。だからスタッフにはハードルを一段高くして要求することもある。
つまり、仁彦さんはお店の中では悪役に徹しているのだ。そして追い込まれたスタッフを清美さんが相談役になってフォローする。この仕組みのおかげでスタッフとの仲も良くなり、「トラットリアゴリアテ」は楽しい職場になった。その証拠に長女と次女の2人もお店との距離感を感じないようで夕ご飯を食べに来ることもよくあるそうだ。

◆取材協力
「トラットリアゴリアテ」愛知県名古屋市中区栄2丁目2−20 村瀬ビル2階
電話 052-218-5688
Youtube ゴリアテチャンネル