低脂質で高タンパク質「毎日食べられるスパイスカレー屋」をオープン 個人事業主の戦い方

「三軒茶屋にタンパク質たっぷりで罪悪感のないカレーを販売している店がある」と、女性パーソナルトレーナーがSNSで紹介していたので気になり調べてみると、2020年4月にオープンしたばかりのスパイスカレー「虜(とりこ)」という店だった。週5日、1日4時間の営業で月商100万円を売上げる秘訣とは? オーナーの大谷一仁さんにお話を伺いました。

はじめは1ヶ月限定のスパイスカレー屋の予定だった

私は5月にベトナムのダナンでカフェをオープンする予定だったんです。でもコロナでそのオープンを見送ることになってしまい・・・。そこで期間限定でこのお店を間借りさせて頂ことになりました。なぜカレーかというと、実は9年ほど東京消防庁で勤めながらボディメイクの大会に出場していたのですが、日々の食事には苦労していたからです。食べたい料理が食べられないというストレスもありました。そこで、低脂質で高タンパク質でありながら美味しい食事ができないかと考え行きついたのが、スパイスカレーです。油や小麦粉を使わないのでヘルシーですし、鶏肉などは皮を剥ぎ油を極力カットし工夫することでタンパク質もしっかり摂取することができます。何より食事が楽しくなるので続けられるんです。私はスパイスカレーにどんどんのめり込んでいきました。それから2年が経ち、9年勤めた東京消防庁を退職しスパイスカレー専門店を今年4月にオープンしたというわけです。

個人事業主だからこそできるPDCAの高速回転

オープンした3日後に緊急事態宣言が発令されたため集客には苦労しました。でも支払いは待ってはくれません。どうにかしなければと思い始めたのが冷凍カレーの販売です。フィットネス大会に出ていたこともあり、業界の人たちがSNSで拡散してくれたおかげで、販売開始から3ヶ月で6千食を売り上げることができました。今は生産体制や保管場所の関係からオンライン注文はInstagramのDMに限定している状況です。

InstagramとGoogleマイビジネスを使った集客にも力をいれました。当たり前ですが、こういったWEB集客は簡単には効果は上がりません。投稿をサボらないこと、誰か一人でもいいから見てくれたらと思いながらコツコツ投稿し続けました。その結果、Googleマイビジネスでは同業他社の表示回数が平均7千回なのに対して「虜」の表示回数は3.4万回表示されるなど、高い露出を獲得できるようになりました。

一方で、新規集客の獲得は非常に難しいということ、常連客を掴むことが大切なのだと感じるようになりました。それに気づいてからは、まずはお客様一人一人の顔を覚えること、お客様との距離感を大事にするようになりましたね。また店舗のコンセプトは「毎日食べられるカレー」ですから、常連さんが毎日行きたくなるような、飽きがこないメニューにする工夫がいるなと思ったんです。そこで始めたのが365日違う「日替わりカレー」です。本来なら、試作して原価計算をして価格を決めるという順序を、私の場合、前日にレシピを決めて当日試作をせずに調理し提供しています。個人事業主の私が他店に勝つには何よりもスピードが勝負だと思ったからです。日替わりメニューに限ってはコストは一切考えません。お客様にいかに喜んでもらえるか、楽しんでもらえるかを追求して、あとは毎日続ける。他店よりも飲食の経験が少ない分、当たって砕けろの精神です。私と同じように日々の食事に困っている人の為に、今はとことんがむしゃらに続けていきたいですね。

取材協力
スパイスカレー専門店「虜-TORIKO」
東京都世田谷区太子堂4-22-12平成ビル1F
(夜はワインバル 「ゴルゴン9三軒茶屋店」として営業)

記者:スマイラー特派員
乙丸千夏(テンポス広報部)