チャンスには代打攻勢!まさに今がそんな時!

情報が二転三転している、都道府県のプレミアム食事券を含むGo To Eat事業。そもそも「Go To Eat」「Go To イート」「GoToEat」など、表記すらどれが正しいのかよくわからない。「Go To Eat」が多数派なので、本コラムではこれで統一ということにする。
この記事を執筆している時点では「来年のゴールデンウィークあたりまで延長予定」となっているが、掲載時にはまた変更になっている可能性もあるため期間には触れないでおこう。

先々月号でワクチン後の飲食店集客について書いたのだが、ニュースをみる限りではやはりコロナ前と同じ状況には戻りそうもない。もちろん喜ばしい話ではない。しかし、外食文化に対する消費者の価値観が変化してしまったのだから、それを素直に受け入れていくしかないのもまた事実だ。

とにかく、Go To Eatで少しでも来客が増えている期間が勝負である。
集客増は一過性のもの。「増えた、減った」という一喜一憂ではなく、政治に文句を言うでもなく、来店してくれたお客様にまた次も利用してもらうためにはどうすればいいかをしっかり考えて施策を打っていくことが必要だ。何もせずお客様が再来店してくれるだけの魅力がお店にあれば安泰だが、そうであれば既にお客様が戻っているはずだ。

一人のお客様が生涯お店にいくら落としてくれるのか、その考え方を「ライフライムバリュー」という。アルファベットなら「Life Time Value」で、LTVと略されて使われる。このLTVを高められるかどうかが、この不可逆な世界で飲食店に求められることだと考えている。
人気店はLTVが圧倒的に高い。お客様が何度もリピートし、客単価も高いためだ。つまりは、人気店に近づけなければコロナ前よりも経営が傾きやすくなるリスクが高まると考えられる。では、具体的にどうすればいいのか。

1. またお店に来なければならない理由を提供する

クーポンや割引が善か悪かはさておき、少し太っ腹なくらいの次回特典を提供してもよい。ただし、それは単なるクーポンではない。例えば「苦しいときにご来店いただきありがとうございます。これはそんなお客様へのわずかばかりの気持ちです。ぜひまたいらしてください」と、感謝の意を込めたツールでなければならない。お客様が面食らうくらいがちょうどいい。
太っ腹クーポンで十分かもしれないのにそんな感謝まで伝えられたら、私なら必ずリピートする。そんなきっかけで再来店すれば、特典なしでもまた来てくれる可能性は高まるだろう。

2. ファンになってもらうための取り組みを考える

クーポンはすべてのお客様に対するもので、前項のような対応をすればそれだけでファンになってくれる方もいるかもしれない。ここでいう「ファン」は、もっとコアなファンを意味するものだと考えてほしい。
具体的には、「あのお店って○○だよね」という、ポジティブな○○を作ることだ。やたら元気がいい、ビールを頼んだら必ず1分で提供される、いつもメニューの写真より量が多い、1回来たら顔を覚えてくれるなど、お客様にとってマイナスになることでなければ何でもいい。
どのお店にも得意技はあるはず。なくてもこれを機に一つ作ると良いだろう。

ピンチはチャンスとよく言われるが、まさに今がそのタイミングだろう。お客様もこれまで我慢していたのだから、気持ちのよい顧客体験を得てもらえばきっと次につながるはずだ。

記事執筆

ビズクルー株式会社

代表取締役 田中 良平

集客やビジネスモデル構築を強みとする。飲食店のチラシやPOPなどを格安定額制で丸投げできる「助太刀丸」を運営。