【麺屋 桐龍】年商1億円のラーメン店に学ぶお金と人材のかけどころ

麺屋桐龍 桐田佑介氏麺屋 桐龍 店主  桐田佑介氏

東川口駅から徒歩20分。スーパーの建物の1画に「麺屋 桐龍」はある。少し縮れたもちもちの極太麺に、ボリューミーな盛り付け、そして食べたら忘れられない濃厚なスープが特徴だ。

土日は朝9時に開店していると聞き、店内が混まないうちにと1140分にお店に到着した。しかし既に16席は満席、10名のウェイティングだ。その後も続々と来店は続く。カウンターのみの店内は、感染症対策のために背の高い赤い板で仕切られており、1席1席には「黙食にご協力を」の張り紙もあることから、店内は湯切りする音や、麺をすする音がよく響いていた。

物は大事に使っているか

オープンは201111月。席数は16席だが、もともと店内の広さは今の半分で、11席からのスタートだった。また、諸事情から正式に物件を引き継いだのはオープンの4日前。そこから店内を清掃して、厨房機器と券売機を揃えたバタバタのオープンだった。さらに

居抜き物件だったこともあり、もともと店の衛生状態がとても悪く、お世辞にも綺麗な店とは言えなかったという。それでも改装や備品にはできるだけお金をかけなかった。寸胴は古くてもよくきれいに洗い、何回もお湯で空焚きして殺菌して使っていたほどだ。大事に使い続け、今もオープン当時から使っている道具は多い。

麺屋桐龍

いつも最大のリスクを考えているか

オープン当初、改装や備品にお金をかけなかったのはリスク管理の考えからだ。借金は製麺機の120万円くらいで、月々の製麺機の支払いは16万円。そして、その他の経費を支払い、毎月残ったお金は優先的に今後何かあったときのための貯金にまわした。

また、お客さまがつくまではと、半年間は給料は無し。食事はコンビニのおにぎり1個の時もあった。最初の1カ月で10キロやせた。一方で、毎日いろんなことを試してはお客さんの反応を見て、また試してみては改善する日々を送った。するとオープン初日は130人だった客数は、2カ月目には100人以上に、3年後には1200人が来店するまでになった。そして月日は経ち、コロナ前の平時の1日の客数は平日で350人前後、土日は1450人前後が来店する。

とにかく改装や備品にお金をかけない。お金をかけるべきは食材や味などお客様の喜びに直結するところ。必要なものがあれば頭を使って工夫する。それでも必要な改装や備品ならお金をかける。いつも最悪のことを想定し準備をする。常に最大のリスクヘッジを考えて経営してきたと桐田さんは話す。

麺屋桐龍

いつのまにか・・・。

オープンから3年経過したころ、隣の物件が空いたことから、思い切って壁をぶち抜いて改装することにした。10坪だった店内は20坪へと2倍の広さになった。また、改装を踏み切った時に、製麺は信頼のおける義父に完全にお願いすることにした。一人で始めたラーメン屋だが、気づけば、奥さん、お義母さん、お義父さん、家族で「麺屋 桐龍」を作り上げる形へと自然となっていった。

創業して10年、今年10月に2号店をオープンする。なぜ、このタイミングかというと、この10年は出店よりも自分の目が届く範囲でできる売上拡大と人材育成に力を入れてきたからだ。

例えば、オープンから3年目でいちはやくラーメンの通信販売を開始し、店と通販で口コミを増やし売上を伸ばしてきた。一方で人を増やし育てると同時に、「この人は責任感があるな」「この人はスープが分かるな」「この人は遅刻しないな」等を見てきたという。現在、社員は10名だ。また現在の業績は、1店舗の売上と通信販売の売上だけで年商1億円を突破している。

もし繁盛しているからと安易に出店して、出店した勢いでスタッフに店長を任せていたら、ここまで圧倒的な「麺屋 桐龍」にはなっていないだろう。2号店をオープンする今、桐田さんの新たな挑戦は始まったばかりだ。

麺屋桐龍

#取材協力
店主:桐田 佑介氏
店名:麺屋 桐龍
住所:埼玉県川口市戸塚3-36-18
https://menyakiryu.com/