父親を連れて行った一軒の店が、 自分の中で居酒屋革命を巻き起こす!

石田彩乃さんのあだ名は「いかちゃん」。旧姓が五十井(いかい)さんだったことから、今もそのまま「いかちゃん」と親しみを込めて呼ばれている。

富山県魚津市出身で、大学進学のため、仙台に1人暮らしすることになった。父親が仙台に訪ねてきた時、「美味しいものを食べたい」というリクエストに応え、「ちょーちょ」に初来店。自分の中で居酒屋革命が起きた。

「料理がめちゃくちゃ美味しい!」。名物の「いわし焼き」を1人1匹ずつかぶりついて食べる美味しさと衝撃。何を食べても美味しくて、スタッフが楽しそうで店は活気で溢れていた。しばらくしてこの店のホームページを見ると「賄いつき」のバイトを募集中。応募することにためらいはなかった。

「ちょうつがひ」名物の刺し盛りは1人前890円。

大学3年のとき、「ちょーちょ」の2号店、「ちょーちょむすび」のオープニングスタッフとして配属。これが人生の転機となった。

全くゼロの状態から、どんどんお店として形になっていく経緯を目の当たりにして、飲食業界への気持ちが一気に本気に変わった。「なんてカッコいいんだろう」。そうしてすぐ「就職したい」と思うようになった。

両親とは将来について何度も話し合いを繰り返した。大学へは建築の仕事をするために入ったのだから当たり前だ。「ちょーちょ」のことは、もちろん両親も大好きだったけれど、就職となると話は別。「自分は将来どういう人になりたいか」を何度も親にプレゼンし、なんとか納得してもらった。

今まで「これをやりたい」と思うことがなかった自分が、初めて「ちょーちょ」と出逢い、飲食業に触れ、この世界で生きたいと強く思えた。それは自分の人生にとって奇跡のようなことだった。

女性で居酒屋を生業にする人は、男性に比べるとあまり多くはない。だからできるかぎり武器をもちたい、そんな思いから板場を志願。板場に入らせてもらうまで、休みの日には会社とお付き合いのある魚屋さんに行って、小さな魚をひたすら下ろす練習をさせてもらったりもした。女性としていつまで同じように働けるかわからないだけに、今でもレベルアップしたいと、仕事に励んでいる。

「仙台昼呑文化発祥の店」と看板に掲げ、飲食店から元気を発信している

「ちょーちょ」グループの特徴は、社員やスタッフが楽しんで仕事をしていることがお客様に伝染して、「美味しくて、楽しい」があふれていること。その雰囲気を伝えられる人に私もなりたい。

現在は、3号店「晩酌と晩御飯 ちょうつがひ」の板場担当として、「今日楽しかったな」「お客さん楽しんでくれたな」「バイトの子も楽しめたな」という日が、1日でも多くなるようにと願い、日々奮闘を続けている。

カツサンド1/4サイズ400円

三陸天然鱈フライ650円

取材協力

石田彩乃氏

晩酌と晩御飯 ちょうつがひ

宮城県仙台市青葉区一番町4-7-7

022-797-5676

記事執筆

澤田てい子 1978年10月10日生まれ 青森県下北半島出身 東北学院大学経済学部卒業 株式会社リクルート、地元IT企業を経て、2014年に独立。 東北の居酒屋を中心に年間1200軒を飲食人とともに飲み歩き、情報収集、トレンド発信、販路開拓等、飲食人と生産者を繋ぎながら外食業界を盛り上げるために日々活動中。 フードスタジアム東北編集長。 (一社)東北食の力プロジェクト事務局長。