もっと早くやっておけばよかった、ベーカリー。コロナ禍でも月商1千万円!

アロットクリエイト株式会社 代表取締役社長 田子英城氏

株式会社ロットは、埼玉地域に特化して現在19店舗を展開しています。中でも戸田市に9店舗と比較的、乗降者数の少ない規模の小さな駅前に店舗を集中させているのが特徴です。業態も居酒屋、炉端、串カツ、焼鳥、焼肉、イタリアン、ラーメン、カフェなど業態は非常に多岐に亘るのも特徴です。株式会社ロットの代表から現在は親会社のアロットクリエイト株式会社に移動した田子氏に話を伺いました。

出店に対する考え方

戸田のどういうところに魅力を感じて出店しているのですか?

「駅を降りるとテナントビルが乱立していて、1階から10階まで飲食店が立ち並ぶ国って世界中どこを歩いても多分日本だけじゃないですか。新宿の一等地に店を出すのはうちじゃなくてもいい。他にいい店たくさんあるし、都心は過当競争の中で揉まれていい店が残ればいいだけの話であって、ロットは離れた場所にポツンといい店を作ったりする。やっぱり喜んでくれるんですよ。『こういう店が欲しかったんだよ』という声が僕たちの原動力です。」

出店する際の基準などは?

「この町、戸田の特性として人口増加率がものすごく高い町なんです。出店するときの指標としては人口増加率が高い街に出店するようにしています。そういう街が成功しやすいと思っていますから。あとは大手チェーン店が店を出してて、いい個人店がない街。具体的には乗降客数が2万くらいで学生がメインなんだけど地下の店舗が居抜きで開いていれば、ウチに内装の会社があるので自分たちでプチ改装してテンポスから中古をかき集めてお店出しちゃうって感じかな。」

ロットの企業理念は「笑顔の街づくり」ですよね?

「1店舗1店舗お店を作ることによって街に活気が生まれて、街づくりということも頭の中では考えています。でもその時は一生懸命なんですよ。1店舗1店舗一生懸命作って、この街にはこういう店が必要なんだ、って。店舗を作る時に、この土地に住んでる人たちの外食のレベルを1段引き上げるため、オシャレすぎたらだめだけれどもこじゃれた店を作らないと街の感度は上がって行かない。外食に対する意識、これまで居酒屋しかなかったのでちょっと感度上げていかないとだめだよね。チェーン店ばっかりだと街の個性がなくなってしまうよね。それより個人店がたくさんあった方がこれからの時代はいいような気がするよね。自分たちの中ではそういう思いがあってお店作りをしているんです。」

ドミナント戦略の有効性

戸田のような街はドミナントを形成しやすい?

「ここらあたり、都内に近いじゃないですか。仲間達と店出すってなった時、都内の店舗だと売上は上がるけど、その他もろもろのコストがあるので、同じ規模だと完全に戸田のほうがいいんですよ。とは言え、マーケットは小さいので、都内に比べて一つの業態で2店は必要ない。自社で居酒屋2店は必要ない、そこまで求められていない。」

要するに、戸田にはそもそも店がなかった?

「そうそう、だからラーメン屋さんあったほうがいいよね。おしゃれな喫茶店あったほうがいいよね。ワインがちょっと気軽に飲めるような店ないよね、みたいな感じでお店を増やしていった、途中までは。それでウチのアドバイザリーボードの人たちと10年経っての振り返りをやったんです。その時、MBAなどのビジネススクールに通ってた人たちにこれまでのロットの成功要因を探ってもらいました。その時、次のビジョンとしてドミナント戦略が面白いんじゃないかと言うことになりました。

でも、ロットさんのおかげでいろんな飲食店が戸田に集まったという効果があるのではないですか?

「それはないんじゃないですかね。全部ウチが借りちゃいましたから。まあドミナント戦略の中で完全にマーケットリーダーになることで立場的に有利になること。客単価とかも、しっかり面で押さえて行けばこちらでコントロールできることってたくさんあります。競合店を排除できると思いますし、どんどん競合店入ってきてください、というのはないですね。」

ウィズコロナの時代に向けて

都会と違って、コロナ騒ぎもそれほどでもなかった?

「これからコロナの第2波、第3波が来て、自分たちの目標とかなりかけ離れたところで推移して行ったら、それはそれでいいかなと思ってます。ロットが無くなるわけじゃないんでね。戦後から高度成長を経て豊かな日本になったのは素晴らしいことで、すごいなあと思うんです。けれども商売のやりやすさで言えば、豊かな今の方がやりづらいと思っていて。ちょっと豊かな生活という流れの中でのビジネスのほうがむずかしい。それで言ったらコロナみたいな大きな事象があった方が新しいビジネスが生まれるチャンスだし、僕自身そのほうが活躍できる、活躍したいなという思いが強いです。実は僕、ロットを辞めて今の会社になってからずっと2年旅してたんですけれども、若干自分の中で“もやもやしていたもの”があって。でもコロナのおかげで自分のなかでスイッチが入っちゃって。だから僕の中ではちょうど良かったですね。もう1回頑張れるなって。今がチャンスだと思ってますよ。ピンチの時こそチャンスがたくさんあるように思います。だから今回のベーカリーもそうです。」

RISA! RISA!の一階をパン屋に変えたんですよね?

「まさか1千万円売るなんて思ってないじゃないですか。ベーカリーの本社の人もすごいね!って。その会社FCもやってるんですけど、ベーカリーってお金かかるんで、FCやるのはほとんどが他業種なんです。携帯屋さんとか建設業、不動産屋とかが手を出してくる業態で、飲食店で1億円超えるFCになかなか手を出せないですよ。でも、その社長も色々悩みを抱えているらしくって、居酒屋の僕らにやらせてみて、『やっぱりすごいよね。飲食ってサービス業なんだね。ここまでやるんだったら売り上げ上がるはずだ。うちのFC先一件辞めさせるから、そこ買収しない?』とまで言ってくれてます。ウチとしてもこれからのウイズコロナの時代、これまでドミナントをやる中でいろんな業態やってきたんですけれど、その中で決定的に強いのがベーカリーだと思った。今度またコロナが来たら全部ベーカリーに変えちゃってもいいと思っている。」

取材協力:アロットクリエイト株式会社 埼玉県戸田市新曽南4-5-44

電話:048-432-7777

記者:スマイラー特派員
谷口光児(テンポス広報部)