貧乏を批判的に考えるか、貧乏をバネに頑張るか
もっと生活を良くしたい、もっといい人生を過ごしたいと思っている人の中には、「政治が悪い」「県の対応が悪い」「学校はこうあるべきだ」等、批判的なことを言う人がいる。批判をしたからと言って生活が良くなるわけでもないのに、そこから脱却できない人が多いのは、自分が大衆の意見を代弁しているようで、いい気持になっているからだ。だが、もっといい人生を過ごしたいと思うなら、そんな批判をする前に、今日一日を充実して過ごすことができたかを考える方がよっぽど大事である。
今日という一日を充実して過ごせる人は、一日一日ステップアップして、自分の人生を良いものに仕上げていくことができる。そんな人たちの根底にあるのは、「自分の人生は自分で作る」という考え方だ。そのため、「何々のせいでこうなった」といった人のせいにするような考えは無い。そもそも、「何々のせいでこうなった」という考えの根底にあるのは“動機”である。貧乏のせいでこうなったと批判的に考える人と、貧乏をバネにして頑張った人、それぞれ動機は同じだがそのあとの結果が違ってくる。いい結果にするも悪い結果にするも、結局は自分次第だということだ。
あなたの仕事は何ですか?
砂利を運んでいる工事現場の人に、「あなたの仕事は何ですか?」と聞いた。ある人は、「見ての通り、砂利を運んでいるんだ」と答え、ある人は、「堤防を作っているんだ」、また別のある人は、「羽田空港の拡張工事をしているんだ」と答えた。どの答えも間違っていない。だが、砂利を運んでいると答えた人と、空港の拡張工事をしていると答えた人とでは、会社の方針や上司の指示の捉え方は違うだろうし、捉え方の違いによって同じ新聞を読みテレビを見ていても入ってくる情報も全く違うものになってくる。自分のやる事も変わってくる。これが5年、10年たつと人生が大きく違ってくる。
これと同じように、中古厨房のテンポスで働いている人に、何の仕事をしているかと聞くと、「中古の厨房屋だ」と答える人もいれば、「リサイクル屋で働いている」と答える人もいる。中古厨房屋だと思っている人は、閉店した店から引き上げ修理再生して売るのは、冷蔵庫やシンク、ガスレンジなどの厨房機器だけ。一方で、リサイクル屋だと考える人は、厨房機器だけでなく食器から鍋・窯・包丁、ディスプレイ用品までも引き上げて再生して販売する。誰に何を売るのかによって事業領域は変わる。
テンポスとは何か
では、テンポスの事業領域とは何か。我々は飲食店が健康で長生きできるように診察するドクター(医者)であり、病気にならないように日頃から健康を見守るトレーナーでありたいと考えている。商売が繁盛していない店には事業再生の道を拓き、繁盛店には明るい未来に向かって事業発展する応援をしていくという、2つの側面から支援していく。これがテンポスの事業領域だ。そのため、中古厨房を売るという仕事は事業領域の一部であって、それが我々の全てではない。
だから、食器を陳列していても、接客をしていても、何をしていても常に頭の中で、テンポスの事業領域は何か、その中で自分はどんな専門家を目指して、自分がどんな人生を送っていきたいか考えながら仕事に取り組んでもらいたい。
価値ある一日を積み上げていく
価値ある人生を歩むためには価値ある仕事を積み上げていくことが大事だ。だから、仕事が自分に合わないからと2~3年で仕事を辞めてしまう人はもったいない。何かを積みあげていくのに、2~3年という期間は短すぎる。俺は、今72歳。若い頃は苦労したけど、やっとこの歳になって花開いてくるようになった。だから、皆さんが50歳、60歳、70歳になった時に、積み上げてきたものを活かせる人生を送れるよう、今日という一日を大切に過ごしてもらいたいと願う。
働く者の心得
- 諸君はリサイクル屋に入社したのではなく「フードビジネスプロデュース」の会社に入社したのである
- 全てを自分で決める事、人のせいにするな
- 我慢する・辛抱する・工夫するのをいつも頭において挑戦し続けろ(簡単にやめるな!)
- いつも目的をもって仕事をすること(人生も同じ)
- 指摘するだけ、言うだけの人間は要らない。自分がリングに上がれ
- 1000億の会社に入社したのではない。これから1000億になる会社に入社したワクワク感を忘れるな
- 自由競争と市場原理の中にいる会社で働いていることを忘れるな
- 額に汗して油で汚れて働く百姓テンポスが一番偉いが評価が低い時もある
- 損得勘定で働くな、損得勘定を持ち出すな。
- テンポスの教育とは更に重い荷物を背負わせることである
- 人の改革よりも自分の改革が第一と心得よ
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smiler52号 森下篤史
(記事:乙丸)