空飛ぶ車やホバーボード、勝手にサイズ調整してくれるジャケット、音声で動く電子レンジやテレビ。バック・トゥ・ザ・フューチャー(Part2)を懐かしいと感じる方は多いであろう。あの映画の中の「未来」は、じつは2015年の話だったということをご存知だろうか。実際に、音声認識で家電を操作する技術や指紋認証での決済、VRゴーグルのようなウェアラブル端末は、2021年現在で市民権を得ているといっていいだろう。ホバーボードや空飛ぶ車は街で見かけるにはまだ時間が掛かりそうだが、すでに何年も前から実験段階にあるそうだ。ドラえもんよりは現実的な未来予測だ。
いわゆる「デジタルサイネージ」にあたる技術も登場している。ジョーズ19(JAWS 19)のサメが飛び出てくるような広告や、空飛ぶ車の広告に使われていたポワンと宙に浮かぶディスプレイがそうだ。同様に、完全に実用化されているとは言えないがそこに近づいている。ただし、あんな広告が街中に溢れたら目が回って気持ち悪くなりそうだし、街を歩くだけでストレスが溜まりそうだが…。
駅やショッピングモールなどの大型施設では、壁掛けや縦置きディスプレイのデジタルサイネージが明らかに増えてきた。街を歩いていても、数年前と比べれば目にする機会がだいぶ多くなってきたと感じる。ポスターなど紙媒体の代替ツールとして少しずつ浸透してきているといえるだろう。
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サイバー・コミュニケーションズ社のニュースリリース(2020年11月)によると、2020年のデジタルサイネージの広告市場規模は516億円。これでもコロナの影響で前年より250億円ほど減少している。今後の経済回復を見通した予測だと、その4年後の2024年には倍の1,022億円となっている。飲食店を含む「商業施設・店舗」に関していえば、2020年の77億円から、わずか4年で3.38倍の257億円まで伸びる予想だ。
「デジタルサイネージ広告がポスターに代わるツールになる」と筆者は考えている。デジタルサイネージの広告市場規模が拡大すればするほど参入するサービスは増え、競争が増し、いずれ個人商店でも取り扱いやすい価格や仕組みになっていくことは間違いない。数年前までは自店舗で広告をプログラムすることは難しかったが、今ではUSBをパソコンに挿して配信を管理することもできる。しかも月額千円台のサービス(モニター別)まで登場する時代になってきた。従業員5名以下なら小規模事業者持続化補助金の活用も可能だ。
紙ポスターは安価だし、長年親しまれてきたツールなので簡単に消えることはないだろう。紙は紙の魅力があるので、個人的にもなくなってほしくないと考えている。ただ、同じスペースで告知ポスターをじゃんじゃん切り替えられると考えれば、広告の原理原則からして集客や単価アップに確実に結びつくものになるだろう。
自店舗で設置するならどんなことができるか、あらかじめ考えておいてみると切り替えやすくなるだろう。
ところで、「ジョーズ19」の広告シーンをネットで見返してみて思い出したのだが、3Dの映画って最近見かけないような…。筆者が3D映画を最後に観たのは「海猿3」。もう10年以上前の話だ。技術にこだわりすぎてなんだか消化不良だった記憶はあるが、作る側の満足だけでモノを売っちゃいけないという良い事例なのかもしれない。
出展:「2020年デジタルサイネージ広告市場調査 」CCI/CARTA HOLDINGS
https://www.cci.co.jp/news/2020_11_25/01-29/
記事執筆
代表取締役 田中 良平
集客やビジネスモデル構築を強みとする。飲食店をはじめとした街の企業のデザイン活用を支援する、定額制デザイン頼み放題サービス「助太刀丸」を運営。