会社の存在目的を定める
会社や店舗を何の目的の為に運営しているのか? その目的により目標が変わり、目標により日々の行動が変わります。その例え話として、「イソップ寓話」で有名な3人のレンガ職人の物語をご紹介しましょう。
3人のレンガ職人の人生を分けたものとは
ある旅人が、レンガを運んでいる男Ⓐに「何をしているのか」と尋ねました。すると、
Aは、「親方の命令でレンガを積んでいるがきつくて大変」と答えました。
旅人はまた歩き出し次の職人Bに同じことを尋ねました。
Bは、「レンガを積む仕事をしているが、なかなか仕事が無い中、家族を食べさせることが出来てありがたい」と答えました。
旅人はまた歩き出し次の職人Cに同じ事を尋ねました。
Cは、「ここで多くの人の為に歴史的な大聖堂を建てている。みんなの役に立ててこの仕事を誇りに思う」と答えました。この寓話には続きがあます。
それから10年後、Aは不平不満を言いながら、あいかわらずレンガを積んでいました。Bは少し賃金は高いけど危険な仕事についていました。Cは人の上に立ち多くの職人を指導育成していた、というお話です。それぞれ職人の目的を見ると、Aは目的もなく親方に言われたからレンガを積んでいるだけ、Bはただお金の為に、Cは社会貢献になります。
つまり、目的を持って行動する者と持たざる者では、数年後に身に付いた実力や結果に大きな差が出てくるということです。だからこそ、働く事はもちろん店舗や会社を運営する時には、目的(存在目的)を決める必要があります。
目的も無く日々営業を続けるのは、餌を探し求めて毎日をしのぎ、ただ生きているだけの野良犬と何ら変わらないからです。
あなたが社長なら店舗のリーダーにⒶⒷⒸの誰を指名するでしょうか?一緒に働く同僚なら誰と仕事をしたい思いますか?
目標達成のために必要な「目的」の理解と「目標」の設定
リーダーが売り上げや行動目標を達成する為に必要な事は、経営理念など「会社の目的(存在目的)」を頂点にした上で、「営業の目的」等を都度策定し、目的を達成する為の具体的な行動目標・売上目標やターゲット等を決めることです。そして今日、これから何をすればよいか?まで落とし込みます。
また、リーダーは業務が安定、拡大してくると日々の作業を「こなす」事が仕事にならぬよう警戒しないといけません。目的や目標をしっかり理解・納得をしていないと、利益を生まない「必要悪」に堂々と時間を費やしかねません。リーダーは個々の言動が、常に会社の利益や目的につながるようにチームを誘導する役割が求められます。
目標と目標達成の為の具体的な行動を決める
「目標」は目的を達成する為に発生し、日々の「行動」は目標を達成する為に発生します。リーダーは明確な目標を決め、次に目標達成(売上・数値や何を何月何日何時までに達成・完了するのか?出来るようになるのか?)の為に、チームをどの行動に「集中」させるのかを考えます。
一般的に、「目的」は“みんなの為”にとか“社会貢献”など、やや抽象的概念で表されますが、「目標」は目的のように曖昧ではなく明確に設定する必要があります。そして目標を達成する事により期待される効果と、具体的な達成の為の方法をチームに提示(または試行錯誤しながら走る)します。
全員が無意識に行動ができるよう「習慣化」するまで反復トレーニングを繰り返したり、言い続ける事が目標を達成する方法なのです。
チームの人材クオリティが非常に高く、当事者意識も備えているチームには目標のみを与え、達成方法などは自主性に委ねた方が革命的な結果を生む場合もあります。
しかし経営資源(お金・業務教育レベル・スキルをカバーする物や設備等)の乏しい中小企業はおろか、大手企業でも相性を含めた高質人材が集結するチームは稀です。
そのために目標達成方法を提示の上、リーダーが望むレベルに到達するまでトレーニングと実行を繰り返す必要があるのです。
そして目標に結びつかない行動は制限し、日々の業務から利益が発生するように最適化、例えばお金を生まない待機の時間は他の生産にあてるとか、社員の都合ではなく来客に合わせたシフトで効率の最大化を図る等、全体を見ながら成果を上げるのがリーダーの役割です。
一方で、小さな店舗のリーダーならばスタッフを信頼してもあてにはせずに、工夫改善・創造を繰り返し、自らの「リミッター」を全解除し、自身の馬力だけで全力で業務をこなせば経験上、目標達成は難しくありません。
その時には周囲が遅く感じるようになり、今まで見えなかった景色が見えはじめ、同じ事を聞いても違う内容に聞こえるようになります。そして、どのような手を打てば有効なのか一段階高いレベルのものが見えてくるようになるのです。
記事執筆
株式会社日本エスコ 代表取締役 志田 扶
1992年 25歳で家庭用/業務用生ゴミ処理機「ディスポーザー」の輸入・販売・メンテナンスで創業。現在はインフラとしての行政管理型ディスポーザーも提唱。家庭用のみならず多くの飲食店や病院・商業施設に業務用ディスポーザーを販売。