コロナでの飲食店のあり方を聞いてみた。
これはね、もう店が潰れる覚悟でやらないといけないってことだね。お客様を守るためには、己の身を削らないといかんね。ここはマックスで25席。それが今はわずか8席。3分の1だよ。
でも今はね、私利私欲でやる商売は絶対に成り立たないですよ。例えば、席数をもとに戻しました。もしそこでコロナの感染者を出しちゃったら、僕は一生悔いが残ると思う。
飲食店の苦しい胸の内を聞いてみた。
本当は言っちゃあ行けないんだけど。お客様にも最低ラインのエチケットを守って欲しい。
だけどお店側から言えないよ。例えば、一台の車で来たお客様たちに店では別々に座ってくださいって言えないでしょう。すでに三密になっているのに、何を今更ソーシャルディスタンスだよ。だからすこし離れてテーブルに座ってもらう。
どこの飲食店も原価ギリギリの中でセキュリティをしっかりやっていると思う。あとはお客様が賛同してくれれば、僕はコロナは怖くないと思う。如何にボーダーセキュリティを保つか、ということです。
予約客の多いラーメン店について聞いてみた。
飲んで食べて、そして最後のシメにラーメンを食べる、ウチに来るのってそんな客が多いのだ。お客さんが食べたいって料理を僕が作る。
というのも、僕は元板前だからフレンチもイタリアンも中華も韓国料理も、似たようなものは何でも作れる。
でも、ウチのラーメンは他店の人が聞いたらびっくりするような作り方だから。皆んな、ラーメンってスープにこだわっているよね。でも旨味の元は何かってことを突き詰めると、答えが出た。
油なんだよ。
美味しい香味油を作ればスープなんていらない。僕は自家製の香味油に手間をかける。20kgの牛の脂から香味油を作るんだけど、これが体に悪影響を及ぼすんだよ。癖になる、また食べたくなる。これがうちのラーメンの秘密だよ。
ラーメンにハマった理由を聞いてみた。
それはね、今から20年ほど前にたまたま入社した会社が、ラーメン店を買収した。すると、その店の店長をやってくれないか、という話があって。その店がとんこつラーメンの店だった。でも、僕は豚骨があまり好きじゃなかったんだ。まあ、ラーメン自体あんまり好きじゃなかったんだけど。
それで、好きじゃない人でも食べたくなる豚骨ラーメンを作ってやろうって思ったわけ。
それでとんこつラーメンを作っているうちに、どっぷりラーメンにハマってしまった。
それでわかったこと。ラーメンって一杯の丼にフルコースが入っとるんよ。前菜がトッピング、メインがチャーシュー、ご飯物が麺、最後にスープが出てくる。一つの器で料理のすべてが表現できる、こんな料理他にないと思った。
それで、そのラーメン店を辞めて、次に焼肉店の店長をやってくれという依頼が来た。僕はそこで牛骨からスープを取ろうと思った。そしてトリミングでとれたスジもスープに加えてゴトゴト煮たら、今の牛すじラーメンの元になった。
最後に料理人の心得について聞いてみた。
料理人は買った食材を捨てては駄目です。如何にロスを少なくするかを考えるのが料理のプロ。ロスを少なくすれば良い食材が買える。良い食材が手に入ればお客様に良いものが出せる。だから料理人は手を抜いてはいけない。飲食やるってことは人の命を預かっているってこと。心に残る料理を作ることだけを考える。
取材協力
愛知県稲沢市北市場町西玄野528-2
電話 0587-24-3777
赤名祐貴(テンポス名古屋西店)