老舗とんかつ屋さんは色んな意味で頑固でした

東名静岡インターから車で数分、幹線沿いから少し入った道にその店はあります。入り口ののれんには「頑固おやじのトンカツ屋」。何とも取材しづらい。。。

実際に行った方のSNSやブログを拝見すると「看板どおり」等、なにやら不安な情報がいっぱい。恐る恐る入店してみました。

老舗のとんかつ屋にもコロナの影響

このご時世もあってか、お客は私一人。女将さんがイスに座って本を読んでいました。

店内を見回すと、出入口、通用口の戸は開け放たれ、窓も少しずつ開けられて換気は十分すぎるくらい。さすが老舗。古臭さはありながらも、清潔に保たれていて、コロナ対策もしっかりされている。店主の宇田川さん・女将さんもマスクをしながら営業していました。

カウンターに座り、メニューを見ていると、「全然お客さん来ないんだ」と店主さんが声をかけてくれました。「やっぱり影響ありますか?」と返事すると「初めてだねーこんなのは」と一言。有名老舗店とはいえ、やはりコロナの影響は甚大だ。

期待していたこととは…

女将さんが「なにします?」と声をかけてくれました。迷った結果、僕はロースA定食を注文。一人しかいなかったけれども、「はいよ!」と女将さんの100メートル先まで届くのではないかと思うような大きな声。意気を感じました。いつも思うことだけど、飲食店にBGMは要らない、その代わりにお店の人たちの元気な声があれば最高のBGMだと思う。風通しがいいから、店の外にも威勢のいい声が漏れると、これが最高の宣伝になるんじゃないか、と思った。

慣れた感じでご夫婦が厨房内で調理をし始め、それを見ている僕が密かに期待していたこと。それは、この店の名物となっている(らしい)夫婦喧嘩でした…

「(揚げ)入ったよ!」「はいよ!」「後ろ準備出来てるよ!」「はいよ!」と何とも息がピッタリ。常連さんから聞いた話では、厨房内がバタつくと喧嘩?(おそらくお客からすれば喧嘩にしか聞こえない)が発生するそうなのだ。しかし、全く喧嘩はみじんも感じられなかったのでした。これもコロナの影響か!残念!

取材を忘れさせたトンカツ

待っている間にお新香が先に登場。少し薄味だが、ウォームアップには丁度いい加減。10分程で、ごはん・お味噌汁が到着。そしてお待ちかねのトンカツ登場。

で、でかい。というかぶ厚い。程よいきつね色の衣の中に分厚いロースがどっしり。強食の私でも食べきれるか。。。と思うくらいでしたよ。よくよく見るとごはんの量も多い。

まずはカツを早速一口かぶりつく。え、うそ。柔らかすぎる。この厚さでこの柔らかさはやばい。脂身もくせがなく、仕込みの丁寧さがうかがえました。

気が付けば、あっという間にあと二切れ。取材をすっかり忘れてしまってました。

御主人は、って目をやると、私の2つ離れたカウンターに座っていました。

目が合うと、一瞬目が笑い、そして新聞を読み始めたのでした。

僕もそのまますぐに残りの2切れを完食。

激満足。別メニューでB定食もあったが、それはさらに大きいようだ。

次回は、試合のつもりで来なければ。

食べ終わって一息ついていると女将さんが誰に言うともなしに「なんか大変だねー」と一言。

「お会計お願いします」というと、「はいよ!ありがとね!」と。

口数が少ないところは頑固おやじ?なのか。

しかし、仕事に対する熱意と変わらぬ味でファンが多いのもうなづけるお店でした。やることやって、駄目なものは駄目、いいものはいい。美味いトンカツはその試行錯誤を繰り返した結果の産物、そんな感じがしました。

定食はもちろんですが、ランチタイムには、カツカレーも人気のようです。トンカツと濃厚なルー、そしてごはんが絡み合えば、1+1+1=100の至福の時ではないでしょうか。

あと2.3回は通わねば。と勝手に決意をした次第でした。

男性はもちろん、女性の子どももみんなが大好きになるお店。評判の老舗も実は、併設店舗でカツサンド屋さんを一時期やったことがあったそうですが、すぐに閉店。納得行かなかったらすぐに辞める。これが職人の心意気!ということでしょうか。

そんなところにも仕事への情熱を感じました。その情熱がこちらに伝播し、よし、僕も仕事頑張ろうって思わせるなんてスゴイですね。これが飲食店の醍醐味です。噂通りの明日もまた行きたくなるお店でした。

取材協力:とんかつ宇田川 静岡県静岡市駿河区中野新田303−5

TEL:054-281-7759

記事:スマイラー特派員
杉山俊介(テンポス静岡店)