あれをしたことで変人客が逃げていった店主の話

昔は、女性経営者にインタビューする時に、“女性だから大変だったことはありますか?”とよく質問していたが、ある女性経営者から「性別が理由でハンデを感じたことは無い、自分が思う以上に周囲が敏感になっているだけ」という話を聞いてなるほど、と思ってからは、その質問をしなくなっていた。

だが、最近、これは“女性だから困った”と言っていいんじゃないかと思う話を取材中に聞いたので紹介したい。女性店主曰く、「変なおじさん事件」だ。

そのおじさんは、ある日ふらっと店にやってきた。カウンター越しに会話を楽しみながら、「頑張ってね」「ありがとうございます」なんて会話を交わしたという。

次の日、お客はまた来てくれた。「ありがとうございます、昨日もきてくれましたね」「おぁ、頑張っているか」、その日もたわいない会話を交わす。

しかし、その後7日連続でそのおじさんは店に来た。オープン間もないからお客は少ない。気持ち悪いと思ったが、ありがたいと思うようにした。

次の日、雑務をこなすため、店はスタッフに任せて外出したところ、戻りは夜9時になった。「ごめんね、遅くなった」と言うと、「オーナー、○○さん来てくれていましたよ。トマトが切れて困っていたら、スーパーに買いに行ってくれたんです。遠慮したんですけど、行くって何度も言ってくれたんで、お願いしちゃいまいした。」とスタッフが嬉しそうに話す。

その時、血の気が引くのを感じた。いやいやいやいや、私がおらん時に、おじさん何しているの。気持ち悪い。仕事のことだけでも手いっぱいなのに、変なおじさんのせいで、精神的に追い込まれていった。

一人では抱えきれず「かどを立てずにどうにかしたい。」と唯一の常連客に相談した。常連客は「そいつに塩まき!塩!」と怒ってくれたが、塩をまく勇気はなかったので、入り口に盛り塩を置くことにした。すると今まで毎日来ていたお客が週2、3日と来店が減り、いつの間にか店内飲食からテイクアウトに変わった。

そしてだんだんと姿を見せなくなっていった。

塩が効いたのか、女性店主の強気な態度が効いたのか、本当のところは分からないが、もし変なおじさんで困っている方がいましたら、盛り塩を置いてはいかがでしょうか?