流行りじゃないのよ、唐揚は! まだあったの?こんな新業態?唐揚げと喫煙所のコラボ!

株式会社スキマデパート 店舗開発担当 岡田勝之氏

世の中にタバコを吸う場所がどんどん無くなっている。この現実を逆にビジネスにしようと考えた結果、新しい立地ビジネスが成立するのだ。自治体の助成金を活用することで好立地の喫煙所を作り、そこに自動販売機を置くだけじゃなくテイクアウトやイートインのお店を併設する。こんな面白いビジネスと唐揚との関係とは?「岡田屋」の責任者岡田勝之氏に話を聞いた。

タバコと飲食

そもそも当社では、喫煙所に飲料自動販売機を設置して管理運営もしている。喫煙所って休憩する場所。だから自販機を置けば路面に置くよりは売上がいい。しかも喫煙所って結構いいロケーションじゃないと結局意味がないんだよね。それがイコール飲食の好立地というわけではないけれど、人通りが多い場所であることは間違いないね。

実は、今年4月の改正健康増進法が施行されても喫煙者の数はほとんど減ってないんだ。10月のタバコ値上げで少しは下がるとタバコ関係者は予測を立てたんだけど、全然下がらない。要するに喫煙者は下げ止まりなんだよ。なのにタバコ吸える場所、店がどんどん街から無くなっている。そのため千代田区では一定の数の喫煙所を作って、これからも増やしていく計画なんだ。そこに目を付けた「スキマデパート」が喫煙所を作ることになったんだけど、10坪の物件があっても喫煙所は5坪でいい。じゃあ残りの5坪を何か有効活用できないかってことだよね。

まあ喫煙所の中に書いている「あなたがここの自販機で飲み物を購入していただくことが喫煙所の維持につながります」ってことでタバコ吸うだけだと喫煙所を維持できないわけだから。まあそれと同じように唐揚も買ってもらいたいなって思ってるわけ。

唐揚とたい焼き

最初に千代田区とここを喫煙所にしましょうっていう話になって、元はたい焼き屋さんだったからテイクアウトのできる窓があってね。ここで飲食もやればいいんじゃないかということだったんだけど、それが今年の4月だったわけで。いろんなところでヒアリングしても「いやぁ、この時期に店は出せないでしょう」ということで、その時本当にインスピレーションだったんだけれども、ここは唐揚じゃないかと思ったわけ。

唐揚と流行

まあ、唐揚は嫌いじゃないけどね。というより自分自身がそんな流行りだとかそういったものを追っかけるタイプじゃないから、唐揚が流行ってるなんて話も知らなかった。ほんとインスピレーションだったんだよね。

唐揚はやすひさてっぺいさんのレシピと指導を受けつつ。唐揚協会の名前を出してもいいぐらいなんだけれど、今はあえて出していない。まあどこかで「岡田屋の唐揚げは唐揚協会で金賞取ったレシピなんだって」って言ってもらうと、これまでのお客さんが「だからあそこの唐揚、美味しかったんだ。確かにね」みたいに「岡田家」を再認識してくれることになるかもしれないし。最初に唐揚協会の名前を出しちゃうとそれがずっと続いちゃって「岡田屋」の唐揚げにならないじゃない。まあ今後は協会のレシピとは違う唐揚がこの店から出てくるかもしれないし。

唐揚と自立店舗

「岡田屋」が提供している唐揚は塩だれと醤油の2種類のみ。あと、こだわりとして、海苔弁当が大好きだから唐揚げの海苔弁当も提供している。

このコロナ禍で、経験豊富なシェフ達が加わってくれてレシピを改良したり、厨房を使いやすくしてくれたり本当に助かってる。そのおかげで自分は本来の業務をやってられるって訳だから。お店に立ってるのは金曜日だけなんだよね。

商売で大切なのは人との出会い、これが全てだよね。それと偶然が重なったってことかな。やすひささんと知り合いだったことと、できるシェフが加わってくれたこと、そしてご時世がら唐揚げがブームになったこと。あと「岡田屋」の特徴は唐揚だけじゃないってことかな。小さいこだわりをたくさん散りばめている。たとえば海苔は有明の海苔を使っているし、惣菜も簡単で美味しいにこだわって味噌玉(味噌丸くん)っていうのも置いているし、弁当と丼ぶりもあるし、健康にいいジュースもあるし!そういったちょっと違った地域性みたいなものも重視している。

まあこの店は基本的にはアルバイトだけでも美味しい唐揚げができるような、そういうスタイルを目指している。責任者の自分がいなくても回せる「自立店舗」、それこそが喫煙所と飲食店のコラボの神髄!

取材協力:「岡田屋」東京都千代田区富士見1丁目7−7℡ 080-7791-6594

記者:スマイラー特派員
谷口光児(テンポス広報部)