川上君へ!
ビストロを黒字化せよ
元々、ビストロは、実験店という位置づけ
立地、規模、最悪の条件。
九段下は、早々に黒字。飯田橋は、トントンになって来た。神保町がまだ黒字が見えていない。
本部長からは「何やってんだ!とのお叱りが連日ある。
川上君よ。お前の努力は分かる。
お前は、論理的、客観的な視点でものを考えるタイプ。
商圏から、立地から、エリア特性から、如何やったって、採算に合わない。
データを提出して、神保町は、撤退した方が良いとの意見は、もっともだ。納得できる。
川上君よ
お前にやってもらいたい事を、よーく 考えてみろよ。勘違いしてんじゃないか。
あさくま35億を、M&Aをひっくるめて、100億企業にする。3年以内。
今のあさくまを見たら、お前を入れて、3人しかいない。この3人を、如何にして鍛え上げるかが、俺の大事な仕事だ。
出来の良いサラリーマンを創るのと訳が違う。
海外戦略あり。体質改善 経常利益率10% お前は、生死を共にする奴を3人作れ!
目はしの効いてる奴はダメだ。賢い奴は、生死を共にするような馬鹿はしない。
どうやって作る。
今お前にやっている通り、苛め抜く。30~40代は、幸せ日本で育ったから、辛さを知らない。
チョット辛いと、辛いと言う。その時は、本当に辛いと思っているんだから始末に悪い。
100億企業を任せるには、「神よ、私をお試し下さい」と祈れ!
お前が辛いと思った度に「神よ、私をお試し下さい」と祈れ!
ビストロの、改革をやらせると、データを集めて、「これ以上やり続けても意味無いですよ」
お前が言っちゃあお終いだよ。
お前は、限界を覗いた事が無い。考え抜いて途方に暮れて、体もクタクタになって、
挑戦を知らない庶民である女房が、「もう辞めなよ、体を壊すよ。」と足を引っ張るような事をいう。大望を理解しない女房は、子供を連れて家を出てしまう。
そのうちに、お前は、幻覚を見る。社員から風の便りに、川上さんはおかしくなったと、聞こえて来る。
その辺りで初めて、「川上!神保町店を閉めよう」「もうチョットやらせて下さい」「もう十分だよ」
神保町の何時やめるか考えていたわけでは無い。
いつ、お前に幻覚が出るかを見ていたのだから。
創業時 俺はテックの全国 1位を三期連続でやった。その俺が、死ぬほどやって、うまくいかなかったら、この仕事は、俺には向いていない。その判断を下せる程の取り組みをして見た。
閉店予定の店に行き、見積りをする。
見積り時間は30分 次の店に行くのに、高速使ってギリギリでスケジュールを組む。
見積りをする間に、社長から、出店の話を聞かされる。
30分を越えてしまう。次の店に間に合わない。トイレにいく時間が無い。走る車の中で、ションベンするしか無い。
スーパーの袋は、容れ物はデカイが、ションベンがこぼれちまって、スボンが濡れた。
牛乳の500ミリパックを使ったら、長い間我慢した結果、500ミリでは、小さ過ぎて、溢れてしまった。ズボンが濡れた。
途中で止まらない。走行中の、窓から捨てている間、出っ放し。
次からは1リットルの、容器にした。
客先のトイレに飛び込んで、パンツを洗い、見積もった。高速の窓から、濡れたパンツをヒラヒラさせて、次の店に行った。
朝イチの、見積り先には、7時に、入った。昼飯は走行中に済ませ、夕方7時頃終わりの連絡をいれ、其れから最低二件見積りに行くような、スケジュールにしてあった。
10時過ぎに家に帰ると、晩飯食ってる時に、寝てしまう。赤ン坊と同じ。ばたんきゅう。
クタクタになって、毎日ばたんきゅうが続いていれば、安心だった。
1年間は、続けてみようと決めていた。
俺は、工夫したり、企画したりする事は得意だった。
だからこそ、クタクタになって、毎日ばたんきゅうが必要だった。納得して辞めたかった。
3月もしないうちに、黒字になったものの、商品の量といい、売り上げといい、こんなもんじゃあと
心の中で、叫んでいた。
此れくらいで黒字になるなら、一挙に、全国制覇しようと決めた。
3店5店になるに従って、身体のクタクタよりも、人使いでクタクタになった。
金も無い、知恵も無いのが、飲食店を始めて、三食まともに食って、マンションに帰って寝る。
売れ残りを食って、食器洗って、仕込みをして、掃除をしていたら、店に泊まるの当たり前。
マンションになんか、黒字になるまで、借りるんじゃねえ!
立ち上げて来た人は、多かれ少なかれ、そんな事をやっている。
川上よ!
100億200億企業を任せようとするなら、苛めるから、這い上がって来い!そんなことくらいで、負けてたまるか、もっと無いのかよと、ぶち当たって来い!
優秀なサラリーマンコースじゃないだろっ!優しい声かけられたんじゃ、男がすたるだろ。
辛い時、涙を出すなよ。慰められるよ!
涙は、逃げた、惨めな己に、泣け!
辛い時、目から出るのは、男の汗。
ユックリ、秋の虫声聴きながら、酒でもやりたいもんだなぁ。川上よ!