友達の雄次郎は、板金屋
ステーキが好きで好きで、月に一回 家族で食べに行っている。
あさくまには、行った事がなかった。
「行ってみた。いやぁ、うまかった!」
「びっくりした。ステーキのケンなんか比較にならん。」
「月一で、家族で楽しみにして行くんだ。上手いステーキ喰った、みんな幸せで、俺も満足だ」
「だけど、森下さん!あのスイーツはなんだ。みんな幸せを感じて、食後にスイーツ。」
「ステーキが、まずければ、あのスイーツで良いが、なまじ美味いばっかりに、あのスイーツじゃあ、不満が残る。」
見破られたか!
俺も、田舎もんで料理の事は判らん。客がどう思うか判らん。然し、ローソンのキャベツの不味さはなんだ!
家で刻んで食べるキャベツは、甘くてほのかに、香りがする。ローソンは、105円であれだけの量を出すんだから立派。あさくまでは、あんなには、出せないだろう。
だけどあの不味さはなんだ!
おそらく、何時間も前に、センターで、大量にカットして、水に漬け込んで、次亜塩素酸で消毒した結果にちがいない。
百姓あがりの、俺は、キャベツばかり食って育ったから、そこんとこはうるさい。
「安井!あさくまでは、店でキャベツはカットしろ」と
指示をしたばかりだった。
既存店 経常利益140%アップ。
だが 此れからが勝負
人件費率がどうした。メール会員を増やせ。肉の仕入れ先を代えて、阿蘇の赤牛フェア。
大ナタを振るって、改革をした。
今までが手抜きだったから、手をうちさえすれば、効果が出るに決まっている。
此れからの勝負は、きめ細かく、改革を続けていかなくてはならぬ。
雄次郎!ありがとう。客の目は誤魔化せんな~。そうか、スイーツか。美味くないか。
「旨く無い。美味いステーキ喰って夢の世界に浸っていたのが、スイーツで、現実にもどされる」
実は夕べ 高島屋の、得意部長の紹介で、帝国ホテルでスイーツをやってた倉田さんと会った。
甘いもん好きの俺は、プリンだ、ロールケーキだ結構、安もんだが、回数はこなしている。
田園調布で、秋田犬を二匹飼っている家の門が開いていた。
通りかかった「朝潮」に飛びかかってきた。秋田犬三匹で、くんずほぐれつ、ガオガオ、噛み合った。
三匹とも、タマタマ、真っ白い犬だったので、血で真っ赤になった。
そこの奥さんが、夕方、ロールケーキを持つて謝りに来た。
その、湿ったロールケーキのうまかっこと!初めて食った。金持ちは美味いもん食ってるな~と思った。
岐阜羽島に、あさくまの店がある。店長がいなかったが、しっかり者のパートが揃っていた。
パートだけで、「女の園」を作って見ないかと持ちかけた。
彼女たちは、先ずトイレを、化粧室にした。手をいれて、しまいには、ストッキングまで置いた。
チェックとはいえ、男の俺には、化粧室に、はいりにくくなるほどの、変わりよう。
窓の外には、一面芝生を敷き詰め、花だらけにした。窓ぎわの席から埋まるようになった。
店員が、自宅の庭の花を、チョコっと折って来て、一輪挿し テーブルは、競って、花置き場になった。
負けじと、額入りの自分の趣味で書いた絵を、部屋に飾る人もいた。
料理も限定で、パートのおばさんが「佐藤絹子のハンバーグ」を売り出した。
1800万の赤字の店が、一年でトントンになり、三年経った今は、毎月100万の利益を出せるようになった。
その店の、スイーツが、旨くなかった。
岐阜で一番美味いケーキ屋から買って来て、店に並べさせた。
卸してくれないから、仕入れ値で売った。客の目は怖い。
旨くなったねぇ
岐阜では有名なケーキ屋だったから、仕入れ先はわかってしまったが、利益もなかったが、かえって、客は増えた。
そんなこんなで、「美味いスイーツのあさくま」此れが今度のテーマだ。