腎臓結石との争い

過去二回の腎臓結石は、痛くて転げ回っているうちに、奴も留まるのを諦めて、ションベンと一緒に放出されてしまった。
三回目
5年前の健康診断で、10ミリの結石が認められるとのこと。
無視されるのは、人間関係に於いては最も酷い扱いだと聞いていたから、認められたんなら良いかと、ほって置いた。
5年もほっておいたら、結石の野郎が「よう!俺の事無視してんじゃないのかよ」と存在を主張し始めた。
両者の間には、領土問題は無いという態度を取りつづけていたが、このところ人の目を盗んで、ちょくちょく領海侵犯を始めた。
背中がチクチクして、石垣島の漁師から、このままではいつやられるかわからぬとの訴えあり。
実歳と二人で、体内に異物を育てる会を結成して、参加を促しているが、農家の組織票を持っている「全農」の睨みにあって、誰も参加してこない。
田中良宗などは、体内というより、「、脳」に異物を持っているので、高校の時算数と成「2」と本人は申し立てているが、生徒は10人位下のクラスだと思われる。
良宗が異物を育てる会に参加してくれれば、いきなり会長職も夢ではないと、理事長の実歳が誘っているが、将志が、必死になって止めている。「お前が入会したら、俺も危ない。」
将志は異物というより、神経をウイルスに犯されているので、一定量を超えて飲むと、別人格になり、電柱にしがみついて、「グループ長!引退を進めます!」などとはた迷惑も考えず、
叫んでいる。
最近の動向
どうも、実歳が脱退するという噂。
いよいよ一人ぼっちになりそうである。
30年前創業して間も無い頃、朝出社したものの、女房以外誰もいなくなっていた。
虚脱した淋しさを感じた。
「ヤッパリ信頼できるのはお前しかいない」
「私を信頼するのは自由だけど、私はあんたを信頼なんかしてないからねっ!」
「エッ!なんだよこんな時に」
「花屋敷の観覧車の切符がポケットに入ってた。良い年して、観覧車なんかに乗るぅ!」
「いやそれは、その、引き上げの見積もりに行ったんだ。」
「観覧車なんか、引き上げの見積もりあるわけないでしょ!」
「トホホ、」
「3038番 3038番の方いませんか」
あっ俺だ。呼ばれた。名前を呼ばないんだ。