精神が先か、肉体が先か。

ビジネスアスリート 森下篤史

健全な肉体、健全な行動が、精神を左右するか、
志、目標意識が行動を左右するか。

風邪をひいて熱っぽくて、2~3日伏せている。
思い切ってベッドから出て、動き始めると、案外何ともなくて動き回れる事がある。
気分は病気でベッドにいると、余分に2~3日伏せることになる。
健康な行動をすると、身体の中をめぐる血液が、良い血液に変わり、気分も前向きに、明るくなる。
むしゃくしゃしている時は、小汗をかくくらいの軽い運動をしたり、散歩に出ると、気分が変わることもよくある。
久しぶりに、草取りをしたり、部屋を片付けたりすると、スッキリと晴れ晴れする。
行動が精神を左右していると言える。

剣の道を極めようとして、素振りを毎日1000回、繰り返していても、一生懸命やるだけだと、極める事は出来ない。
池に浮かんだ月に向かって、真剣を振り下ろす、水面が揺れて月が割れるようでは、剣が揺れている。
同じ1000回素振りをするにも、水面の月が割れないように、素振りをするには、振り下ろす度に、精神を統一して乱れのないようにしないと、いつまでも上達は望めない。
書道であれ、絵画であれ、スポーツであれ、極めようとすると、心に乱れのない、精神の統一が必要である。
致知 東北震災を乗り切った「松野三枝子」さん。
5~6カ所の癌で、ステージ4 余命1ヶ月を宣告されて、肝臓、膵臓、腎臓の臓器を摘出。
入退院を繰り返し、東北震災の時に、入院して、やっと生きてる状態で点滴を受けていた。
付き添いのもと、風呂に入れてもらっている時に、激震!
湯船が引っ繰り返りそうななか、タオルだけで、二階、三階へと逃げ、屋上から逃げ遅れて溺れる人を何人も見ていたが、自分にできる事は何もなかった。
水が引いたので、高台にある自宅に、普段は30分の距離を2時間30分かかって戻った。
通りは死体だらけであった。
自分の家は百姓で、米はいくらでもあったし、フェスティバルで食べ物を出す準備をしていた。
翌日から、炊き出しをしながら、帰らない父を探しに、それこそ血眼になって、死体安置所を回った。
その様子がテレビに映って、見ていた主治医が連絡をよこした。
「あんた動いたら死ぬよ!診察に来なさい」震災から90日、仙台の病院に行って診察してもらったら、何カ所にも転移していたガンか、なくなっていた。
震災の日まで動けなくて、ベッドで治療を受けていた身をおして、3ヶ月炊き出しをつづけて、死にものぐるいで動き回っているうちに、ガンが治ってすでに9年経った。
臓器の大部分がないので、治療には通院しているが、生きている限り、「農漁食堂松野や」をつづけようと思っている。

つまり
日常では、志が高いとか、精神が高尚かどうかより、規則正しい、健康な生活をするに限る。
一方で、志が高く、道を極めようとするなら、健康的な行動ではなく、常人には理解できないくらい、精神を高揚させて、突き詰めなければ、とても「極める」入り口にもたどり着けない。

あなたの周りに異常な行動をする人がいたら、その人はきっと、われわれにはわからない「道を」求めているに違いない。