鶏ガラと豚骨、昆布をベースに仕込むチンタンスープは材料を入れるタイミングと火加減にこだわって仕上げる。シンプルであるがゆえに高い技術と時間が必要とされる。こんな職人の仕事を店主の前田氏は独学でたどり着いたというから驚きだ。本格的に料理を学ぼうと名古屋の名店「中華そば 白壁 あおい」で修業するも、諸事情で3か月しか修行できなかった。しかし、あきらめることなくその後も名駅西口と豊田市でラーメン屋を独学で作り続けて、ついに太陽食堂をオープンさせたというから驚きだ!すごいな前田氏!
店主の前田氏は焼きめし(チャーハン)がサイドメニュー扱いになっているのが気に入らないのだ。チャーハン+ラーメンのお得なセットメニューではなく、チャーラーはれっきとした一つの料理なのだと。以前味噌ラーメンと塩そばを出していた時、ふと焼きめしといっしょに食べてみた。するとお互いに味を打消しあっていることに気付いたという。「これはチャーラーじゃない。」といってメニューから外したという。そして中華そばと焼きめしの改良に取り組み、現在のチャーラーを完成させた。中華そばと焼きめし、あえてお互いを物足りなくすることで、一緒に食したときの相乗効果を最大にするのが前田氏のチャーラーなのだ。単体で食しても美味しいのに交互に食べると、もう!最高。オレの胃袋をわしづかみにする!
常に試行錯誤しながら進化を続けるチャーラー。美味しいラーメンと美味しい焼きめしを一緒に食べれば、美味しいのは当たり前。ただ、それでは飽きてしまうし、コストもかかってしまう。美味しさはそのままで無化調にもこだわりたい。コストを抑えるためにこの材料は必要か?これはいらなくないか?焼きめしとのバランスを考えたときにたどり着いたのは、味の引き算だった。ギリギリまで削って完成した焼きめしとの相性が抜群の中華そばは1杯¥550という破格の値段。こだわりぬいた前田氏の努力の結晶を求めて7席しかない店内に入りきれないお客様が注文するのはもちろんチャーラーだ。一日14回転するにもかかわらず前田氏は焼きめしを作り置きせず、必ず注文を受けてから鍋を振る、振る、手首が腱鞘炎になっても振り続ける。まるでチャーラーに取り憑かれたように。
「コストをかければ美味しいラーメンは作れる。しかし飽きるのも早いと思うんです。僕が目指すのは町の定食屋の中華そば。毎日食べても飽きなくて、安くてお腹いっぱいになる。そしてお客さんは笑顔で美味しいと言ってくれる。そんなお店にしていきたいですね。」と前田氏は語る。納得いくまで突き進む!まさに修行僧(笑)。ちなみに特派員長谷川と前田氏は20年来の友人なのだ。先日電話が掛かってきて「さらに美味しい中華そばをコストを抑えて作れた!」というので、これで利益出せるね、良かったなと思った矢先に、「これでさらに安くチャーラーが出せるよ」だって。客単価とか回転率とか原価率とか言ってる自分が情けなくなってきた。
取材協力:太陽食堂
住所:愛知県名古屋市中村区中村町7-40-5
電話:052-413-3700
長谷川宗平(テンポス春日井店)