実録!飲食店火災 後編 |「お店は誰のもの?」

前号からの続き。「今回の火事もそうですけど、自分が居たらこんなことにならなかったって考えちゃったんです。実際にそうだと思いますし」と社長がぽつりと言われました。続けて「やっぱりお店との関わり方ですかね」と。それを聞いて特派員が考えたこと、それは“お店は誰のものか”ということでした。

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とにかく早く店を開けたかった

特派員 杉山:

社長、リニューアルオープンおめでとうございます

社長

ありがとうございます

かなり早い復旧オープンでしたね

テンポスさん含め、ご協力いただいたみなさんのおかげです。本当にありがとうございます。実は不幸中の幸いがありまして、

  • プレハブ冷蔵庫が外側は焦げてしまったが、機器は正常運転し替えずに済んだ
  • 食器洗浄機は被害がなかった為、そのまま使用出来た
  • 主要の茹で麺機も修理は必要でしたが、買い替えずに済んだ
  • 焼け方が良く。解体工事にそれほど時間を要さなかった

年内に出来ればと思っていたのですが、これだけでも300万+納期3週間ぐらいに抑えられたのは大きかったです。

そして、早く店を開けたかったのには、理由ありまして、お金の問題だけじゃないんです。

従業員さんの件ですか?

そうです。おかげ様でウチは複数店舗ありますので、キャッシュフローに関してはさほど頭を悩ますことはなかったのですが、従業員に辞められたらのほうが心配でした。今回火災を起こした本人を含め約1か月半、6名~8名の従業員を遊ばせてしまう訳ですから。生活が懸かっているわけですから、困るなんて言ってられないからね。正直覚悟はしていました。しかし、そんなことは一切ありませんでした。

火事のせいで新たに教育する時間を設けることが出来ました。それに付随する労力と時間、これが、かなり大きかったです。

研修だけでも1~2週間かかりますからね。それと一番気になっていたのが、SNSにかなりのコメントが来てましたよね

そうなんです。これ程うちを気にしてくれている人がいるんだなと再認識したと同時に、これだけの人に迷惑をかけているんだなと痛感しました。

読ませていただいたら、結構厳しい意見もありましたよね

当然だと思いました。火事を起こすような飲食店には行きたくないというのは、お客様の正直な気持ちだと思いました。

火災の収支報告

お伺いしにくいところですが、今回の件でかかった費用・かからなかった費用等お教えいただいてもよろしいですか

はい。だいたいこんな感じです。

内装工事費(空調工事含む) 約650万円

厨房機器費(入替工事含む) 約120万円

店舗什器日(食器・備品等) 約 30万円

合計約800万円

このうち、保険で工事費はまかなえましたが、その他が実費になりました。私の場合、物件は地方郊外平屋戸建物件でしたので、このような内容ですが、賃貸や多層店舗・隣接物件等であれば、更にかかってしまうと思います。建物の火災保険は入っていましたが、機材や家具などの費用は見ていませんでしたので痛い出費になりました。

最後に読者に何かこれだけは伝えたい!ってことはありますか

はい、私がこの数か月間で感じたことは、

  • 従業員研修で営業の業務フローに集中してしまっていませんか(うちはそうでした)
  • 安全、安心に関する準備をしていますか(保険以外にも避難経路・防災訓練等、具体的な対策はとっていませんでした)
  • 設備側の点検・メンテナンスは不定期ではなく、定期の方が良い(つい忘れてしまうこともあると思います)

こんな感じでしょうか。本当はもっとあるんでしょうけど、今はこんな感じです

貴重なご意見ありがとうございます。今回、取材させていただいて「お店はお客様のもの」ということがすごくわかりました。

同業のみなさんに伝われば幸いです。

前号に続きこの記事は、同業者の教訓になればというオーナーのご厚意で掲載させていただきました。テンポス バスターズも微力ながらサポートさせていただきました。

記事:スマイラー特派員
杉山俊介(テンポス静岡店)