【中野 フラ屋】コロナという逆風を押し返した「フラ弁」と「SNSおばけ」

左:オーナー、小杉龍介さん、右:安彦雅人さん 10年来の友人。小杉さんが店の運営を、安彦さんがバックオフィスを担当する。

「フランスおでん」、ってなんだろう?
おでんは、家族と食べる温かな料理のイメージだ。でもそこにフランスがつくと、がぜん洒落た雰囲気になる。フランスの“おでん”とは、つまりフランスのおふくろの味、ポトフのこと。そんな「フランスおでん」を提供するのは、フランス料理とワインが美味しい「フラ屋」のオーナー、小杉龍介さん。「フレンチおでん」ではなく「フランスおでん」と、あえてネーミングしたのは、フランス料理を気軽に楽しんでもらいたいという、小杉さんの想いからだ。

1日6万円売れた「フラ弁」

「フラ屋」がオープンしたのは、2020年1月。常連客が付く前にコロナとなり、ご多分に漏れず、厳しい経営環境が続いた。オードブルのテイクアウトやデリバリー、酒類販売を行うが、なんせ店の認知度がまだ獲得できていない時期。なかなか思うようにいかない。その後は緊急事態宣言が解除され、外食が回復する等、経営は外部環境に左右されながらも安定していったが、2021年1月にまたしても緊急事態宣言が発令される。そこで、始めたのがフレンチ弁当「フラ弁」の販売だ。


「フラ弁」は、お客様には毎回、楽しんでもらいたいという想いから、メインは日替わり、お惣菜もちょこちょこと変わる。これまでテイクアウトで試行錯誤しながら提供してきた、オードブル料理でのレシピのストックが多いため、メニュー開発にはさほど困らなかった。お客様の「ちょっとずつ、いろんなものを食べたい」という気持ちに答えられるお弁当だ。
とはいえ、「フラ弁」の認知をどう広げていくか。そこで行ったのはSNS。「私、SNSおばけなんで」と笑いながら話す小杉さんは、仕事の合間にコツコツと更新を続けてきた。SNSは地道な作業のわりに、なかなか数字が伸びない。公式アカウントであれば、なおさらだ。そんな中、現在のInstagramのフォロワーは4,000人超え、Twitterは2,000人を超えている。これを小杉さんが1人で運営してきたのだから、その続ける姿勢や努力は素晴らしい。

SNSの効果もあって、「フラ弁」の認知度が徐々に上がってくると、同時にオードブル等の注文も増えていった。デリバリーも含めて、1日40~50食、6万円を売った日もある。
現在は、緊急事態宣言も明け、通常営業を開始。お酒の販売免許も取得し、引き続き、テイクアウト、デリバリー販売にも力を入れていく。店内には、目立つ位置にワインセラーを置き、店内で飲むことも、テイクアウトすることも可能だ。ゆくゆくはネット販売も始めたいと意気込みを語る。


コロナを通して、初めは“やらなければならなかった”ものが、今は一つの事業として“やっていきたい”ものへと変わっていった。

◆取材協力
オーナー 小杉龍介さん
店名:フランスおでん フラ屋
住所:東京都中野区新井5-9-1
TEL:03-5942-7087

記者:スマイラー特派員

乙丸千夏(テンポス広報部)