真っ先に考えたのは他社との差別化
朝食を始めるにあたり、真っ先に考えたのは他社との差別化だ。繁華街から離れているからこそ、“ここでしか食べられない”、そんなメニュが必要だと考えた。そこで注目したのが、“健康”に特化した朝食だ。
以前、ハーブガーデンの料理長を4年ほど勤めており、その時に400種ほどのハーブの中から、料理に使うものを自ら収穫し調理をしてきた経験がある。ハーブが持つ癒しの力を身をもって知っているからこそ、今回の朝食でも“癒し”は一つの軸となった。そこから、増山シェフが得意とする、フレンチやスパイス、薬膳等の考えを取り入れた朝食メニューが誕生した。
朝食は“攻めた”料理は難しいからこそ
朝食はランチやディナーと異なり、メニューで“攻める”ことが難しい。しかし、その中でも記憶に残る料理にしたいと考え、薬膳の考えをベースに、発酵の技法を取り入れた料理に仕上げている。
朝食メニューは9種類の料理を松花堂スタイルで提供しており、一品一品、薬膳の考えのもと食材を組み合わせて作られている。発酵の観点からいえば、「鶏のロティ」は、半年かけて発酵させて作るレンジ豆を使った味噌と、フロマージュブラン(ヨーグルトのようなチーズ・乳製品のようなもの)に鶏肉を漬け込み焼き上げている。他の料理でも、フルーツや野菜を発酵して使用している。ちなみに、フルーツの皮の部分は乾燥させ、スパイスと合わせて、新たなスパイスを創作する等、様々な趣向を凝らしている。価格は9品の料理に、御飯や自家製の副菜、自社農園の野菜を使った味噌汁等がついて3,300円(税込)。“わざわざ行きたい”そんな朝食のクオリティーを提供するために、この価格帯で勝負に挑んだ。
“発酵”は食材のポテンシャルを引き出してくれる存在
日本全国を回る中で出会った、生産者が丹精込めて作った食材を、できるだけシンプルに、食材本来の美味しさのまま提供したいと増山シェフは考える。それは、和食を作る考えに近いものがあるが、増山シェフはフレンチ出身。そこで本特集のテーマでもある発酵に注目した。発酵させることで、食材は新たな香りや酸味、味を想像以上に引き出してくれた。増山シェフの言葉をそのままお伝えすると、「発酵することによって食材の複雑味が増す」という。それが発酵の技法を調理に取り入れる理由だ。最後に増山氏は、「私はフレンチ出身ですが、これからも西洋の技術を活かしながら、日本の心を表現していきたいです。」と笑顔で語ってくれた。
取材協力
取締役/総料理長 増山明弘
店名: MOSS CROSS TOKYO(モスクロストーキョー)
住所:東京都港区赤坂5-2-33 フレイザースイート赤坂東京1F
(運営:I.P.S.株式会社)
記者:スマイラー特派員
乙丸千夏(テンポス広報部)