【神奈川県 Jammin’】ひたすら真面目に幸せの南の島を創ってきた29年

フレンドリーに迎えてくれるオーナー夫妻

29年前、新見一太さん夫婦がはじめた「Jammin’(ジャミン)」は、今や湘南を代表する名店となった。入口にはフェニックス等が植えられ、店前はもう熱帯さながら。路面店は街の顔であるという責任があると改めて感じる。オープンエアで食す手造りの無国籍料理に心はおのずと高揚してしまう。

順調に見えてもピンチはあった

南の島の一部のようなエントランス

4年目には右手が麻痺したことがあった。熱い厨房での調理が原因での脳出血だったようだ。それからは一層健康に気を付けるようになった。
一時3店舗まで増やしたが、不動産契約と人手不足の問題で2店を閉業した。お客様が喜んでくれていただけに悔しかった。
そして2020年。

熱意に周囲が共感して助けてくれる

市販にこぎつけたキーマカレーはイラストまでぬかりがない

店舗の造作は友人たちが造ってくれた。創業当時、空いた時間に魚屋さんが魚のさばき方を教えに来てくれた。ライブやギャラリー開催で盛り上げてくれる人たち。もちろん一太さんのバンドも演奏する。

昨年周囲にすすめられてクラウドファンディングで基金を募った。運転資金のためではなく、「Jammin’」で提供している「キーマカレー」のパッケージ製品化のためだ。南国テイストあふれるイラストを作成してもらい、レシピ動画も作ってもらった結果、想定以上の資金が集まった。それを聞きつけて大手企業の社員食堂が「Jaminn’のキーマカレー」をメニューに採用してくれた。さらに、他店から委託販売の申し出があり多方に卸している。営業時間などの規制が厳しい現在、「Jammin’のキーマカレー」は営業の新たな柱になりつつある。

世の中捨てたもんじゃない!

一太さんは人生の約半分を「Jammin’」とともに歩んできた。お客さん、スタッフ、巣立っていったスタッフ、家族、友人たち、取引先との時間がすべてつまったお店だ。どんな時もいろんな人が手を貸してくれた。みんなが「Jammin’」を必要としたからだ。
夢を見続ける一太さんと奥様の成美さんは、これからも周りの人たちにキラキラした時間を提供し続けるだろう。

取材協力
新見一太さん、新見成美さん
店名:Jammin’(ジャミン)
住所:神奈川県藤沢市鵠沼橘1-1-9

記事執筆

光山健児(みつやま・けんじ)

1963年神奈川県茅ケ崎市生まれ。
20年のサラリーマン生活ののち、飲食店勤務を経て2014年ダイニングバーを開業。他店舗研究が高じて、神奈川県の飲食店を中心に取材・広報活動を行う。