義理人情の味付けが“濃い”ラーメン店

濃厚豚骨ラーメンを主力に4店舗展開している株式会社プラスク。「麵屋 武士道 船橋店」はロードサイド店舗で、駐車場はいつも満車。繁盛の理由を知りたくて同社の社長、能見健治氏にお話を伺いました!

特派員 乙丸

いつも駐車場いっぱいですね。すごいです。

能見社長

この道路は「船取線」といって、千葉では主要な道路なんですよ。交通量が多いのに道幅が狭いので、車はゆっくりと走らないといけない。だからうちは看板を見てもらえるので宣伝効果はバツグンです。

特派員 乙丸

ロードサイドの好立地ということですね。ところで、なぜ濃厚系のラーメンでオープンされたんですか?今は淡麗系も流行っています。

能見社長

食品業界全体が「濃い」商品開発に力を入れているという流れもあるし、市場や商圏をリサーチしていくと繊細な味付けよりも、記憶に残るインパクトの方が大事だなと。でも、ある意味ラーメンの味は70点で充分だと思っています。

特派員 乙丸

70点で充分、とはどういう意味ですか?

能見社長

人の味覚なんて不確かだと思っていて、誰と食べるか、いつ食べるか、匂いや気温によっても感じ方がすごく違ってきます。ミシュランの審査員のような訓練されている人なら別ですが、お店に来るのは一般の人たち。「食べログ4.5点以上の店しか行きません!!」という人がほとんどなら、「味こそ全て、100点目指してお客様喜ばせるぞ」と従業員には言わないといけません。だけど、3.0点以上あれば食べに行きますよね? 美味しさより子供を連れて行きやすいかとか、大切な人を連れて行っても大丈夫か?という事の方が気になりますよね。だから、味が最優先ではないという意味で70点で充分だということです。

妻のアイデアで気づいた大切なこと

特派員 乙丸

女性客やお子さま連れの家族客向けのサービスが充実していますね。

「半麺にする代わりに1品トッピング無料サービス」は奥様のアイディア

パート社員から「これあると、子供に食べさせる時、便利なのよね」と、麺カッターについて教えてもらうと、即Amazonで購入。また、子供が壊さないか心配という声から、コップはガラスからプラスチックに全て変更。

能見社長

「半麺にする代わりに1品トッピング無料サービス」は妻のアイデアでね、これを聞いた時は雷に打たれた気持ちでしたよ。

僕は、麺は多い方が嬉しいだろうと思って、茹で前で180gの量を出していました。だけど、妻から「麺が多い」と言われてから、きっと女性は最後の方は我慢して食べていたのかなと思うと、すごく申し訳ない気持ちになったんです。それと同時に僕はなんてアホなんだと思いました。日本は「ご飯を残すのが失礼だ」と考える思想がる。だから無理してでも食べる。そんな、人の本質的なところを見落としていたのです。

特派員 乙丸

なるほど。私も「ごはん残す人なんだ~」と思われないか気になって食べちゃいますもん。

能見社長だから繁盛店は、お客さまが喜ぶポイント、嫌だなと思うポイントをつかんでいると思うんです。それはテクニックとかではなく、「ご飯を残したくない」と思う人の心とかね。

だから、僕は“味”を差し置いても、マニュアルではないホスピタリティある接客、心地の良い空間づくりにお金も労力もかけて100点を目指すべきだと考えます。ご縁もチャンスもお金も人が運んできてくれるのですから。

好きになってもらいたいなら、まずは自分が相手を好きになる、尊敬されたいと思うなら自分が相手をリスペクトする。本当に大切なことは何か従業員にきちんと伝えて理解してもらう。そのために伝える場は作るし、いつでも振り返れるように、6年間文章にして発信してきました。

「お腹と心を満たすこと」これは、私たちのモットーです。義理人情にあつい日本人はお返しを忘れない、そう信じています。

■取材協力
麵屋 武士道 船橋店
千葉県船橋市高根町538-2
℡ 047-460-9977

記者:スマイラー特派員
乙丸千夏(テンポス広報部)

Smiler53号 ラーメン特集