同じ1000円でも、大事に使う時と、捨てても良い時がある

パチンコをして熱が入り負けが込んでくると、帰りに美味い飯でも食ってこようと予定した金を、つぎ込んでしまう場合が多く、
普段の日なら、ラーメンに餃子も食べようか、餃子はやめておこうかと金を使うときに考えるくせに、結局パチンコになけなしの金をぶち込んで、飯も食わないで、すっからかんで帰ってくる。
1000円持ってラーメン屋に行くと、ラーメンに餃子にするか、チャーシュー麺にゆで卵をつけるか迷う。その1000円と、パチンコで負けが込んできて、最後の1000円は10円程の価値もない。

蒲田駅の友達の店で、買おうとした3500円のものが、自宅の近くの大鳥居の店なら、2700円で買えるという。
800円の差があると、蒲田の友達の店で買わないで、帰りしなに大鳥居で買う人は76%いるという。
買おうとした物が7万円だとして、友達が大鳥居の店で買うと800円安く買えるよといわれて、友達の店で買わずに帰って、大鳥居の店で買う人はほとんどいない。
その人にとって800円の価値は、その場その場で違う。
消費者の購買に使う金は、使わせる店側でいかに喜んで金を払うかの仕掛け作りに左右される。

あさくまの八王子店は入り口の横に広いテラスを作り、樹をセンス良く植えてある。
オープン前に、3~4人がテーブルを囲んで、喋りながらオープンを待っていることがある。
店長が気を利かして「早くからありがとうございます、11時30分からですがもう少しお待ちください。コーヒーをお持ちしましょうか、ホットがいいですか、アイスがいいですか?」と聞くと、
サプライズにみんな「いいの?」か「悪いわね」と言って喜んでくれた。
気を良くした店長は翌日 「オープン前からお越しのお客様には、無料でコーヒーを提供します」と張り紙をした。
朝の準備で忙しい時間だから、テラスを見ていないパートもいる。
何日かして、客から「いつまでたっても、コーヒーが来ないじゃないか!」とクレームがあった。
喜んでもらえたのに、無料で出すコーヒーでもクレームがつくもんだと、店長は貼り紙を外してしまった。

客商売というものは、提供の仕方で喜んでもらったり、褒められたり、バカヤロウと言われたり、面白すぎてやめられぬ。