■黒板はチョーク用とマーカー用がある
黒板POPは大きく分けると「チョーク用」と「マーカー用」があります。一般的に、発色がよく、離れたところのお客様にも訴求しやすいのがマーカー用で、手書きの味わいやナチュラル感を出しやすいのがチョーク用と言われています。お店のイメージに合わせて選びましょう
■チョークやマーカーの色を選ぶポイント
基本は白・黄色などの明るい色を取り揃えましょう。また、色には目に直接飛び込んでくる暖色系(赤や黄色)と、背景に引っ込んで見える寒色系(青など)があります。そのため、暖色と寒色を組み合わせる時に、暖色を少なめにして、寒色を比較的多めに使うとバランスが良くなります。
■黒板をいつもキレイにメンテナンスしておくポイント
黒板消しを使っても白っぽさが残る時は、固く絞った濡れタオルで水拭きすることをおすすめします。マーカー用の黒板は、マーカー用のペンで書いた文字は、濡れたタオルで簡単に落とすことが可能です。それでも消えない場合は、ブラックボード用クリーナーを使うと簡単にキレイにすることができます。
文字を書く時は、ゴシック体で書くと遠くの通行人にも見えやすくなります。パソコンで書きたい文字を印刷して、真似をしながら書けば良いので、難しくありません!しかし、「あ」や「ぬ」といった、丸みのある文字は書く時にポイントがあります。まず、文字がカーブする時に、細くなったりせず一定の太さで書くことです。そのためには、カーブの時に手首をひねるようにしてかきますが、難しい場合は、一区画、一区画、書きやすい方向から書いていきましょう。また、文字の横線はできるだけ水平、もしくは少しお椀を描くようなカーブを付けると、可愛らしい文字に仕上がります。
見やすくて伝わりやすいデザインにはポイントがあります。デザインの「近接」「整列」「反復」「コントラスト」を抑えておくことです。順にご紹介します。
■伝えたいことを相手に分かりやすく伝える「近接」
レイアウトする上で、どこに何を配置するのかレイアウトの第一ステップです。関係性の近い要素、例えばフードはフード、ドリンクはドリンクとグループ化してレイアウト位置を決めることで、一目で理解しやすく、覚えてもらいやすいレイアウトになります。
■全体をスッキリ見せる「整列」
文字を左揃え、右揃えにするだけで、全体がスッキリ見えて読みやすくなります。写真がある時は、その写真の縁と文字の左・右揃えのラインを揃えましょう。中央揃えを使う時は、かしこまった・落ち着いた印象を与えたいときに効果的です。
■全体に統一性をもたせる「反復」
色や線、アイコン等を、同じデザインの中で繰り返して使うことで、全体に一貫性が生まれます。フードやドリンク、デザート等、カテゴリー別のメニューの文字の大きさや色、太さを同じにするだけでグッと洗練されたデザインになります。
■相手にハッとさせて注目させる「コントラスト」
コントラストとは、文字の大きさや色、形などを、他の文字とはっきり対比させることです。料理写真が3つある場合、一番のお勧めの料理写真だけ、倍以上大きく掲載する場合も同じです。コントラストを付ける時は臆病にならず、思いっきり付けましょう!
実際に、ランチメニューを黒板に書いてみました。まずは何も言わずに男性社員にペンを渡して書いてもらったのがBeforeの黒板。そして、別の女性社員が入り「写真を入れよう」「文字のラインを揃えよう」「文字の量を減らそう!」「メリハリをつけよう」と意識しながら書いたのがafterの黒板でした。
また、実際に書いてみて気づいたことは、ランチメニューの金額を黄色で書くと安っぽい印象になるため、白色の方が良いこと。写真を多様しすぎると、どんな料理か分かりやすくなるけど、全体のレイアウトが難しくなること等など・・・。頭ではわかっていても、実際にやってみると難しいですよね。ちなみに、プロのデザイナーが書いた黒板が写真を最後にご紹介しています。情報量は多いですが、お客の動線に合わせて、カラーを使い分けたり、イラスト・図形を取り入れるなど、読みやすく、かつインパクトがあり全てに目を通してしまうデザインはさすがですね!
まだ黒板POPを書いたことがない方は、この機会にいろんなお店の黒板POPを参考にしながら、ぜひチャレンジしてみてください。
↑店舗のテーマカラー【ゴールド】に合わせて黄色を多用。イラストも単色で仕上げ、統一感を。色味を極力絞り、インテリアになじむように仕上げた手法。
↑離れて見ても、メニューカテゴリが目に入るように白で大きく太く。個々のメニュー名には先頭に赤丸を付けより読みやすく。遠くから見てひきつけ、細かく読ませる二段階を想定した手法。
↑印刷・ラミネートして切り抜いた画像を、黒板のポイントにしてシズル感を出した。イラストが苦手な人にオススメの手法。
↑白の文字と黄色の文字で、情報を整理。合わせて文字の太さ細さで、メリハリをつけた手法。
↑日々更新できるスペースを作り、全スタッフでも対応できるかつ、書き込まれる書体が違うことによって得られるアイキャッチ感を生かした手法。
↑窓際のお席の目隠し効果&ディスプレイのワインそのものがまるで黒板の一部のように仕上げた、3D手法。
<デザイナー紹介>
塚本製作所 塚本英理子氏
飲食店専門のグラフィックデザイン全般、黒板・壁面装飾。株式会社グローバルダイニング、マルハレストランシステムズ(現M.R.S)など、様々な業態を持つ飲食会社にて約13年、インハウスデザイナーとして勤務。株式会社ダイナックでは、グラフィックだけに留まらず、店舗のブランドのコンセプトワークなど、ブランド開発にも携わる。現在はフリーランスとして、飲食店向けのグラフィックデザイン・ライター業務、社内報の取材・デザインなど、デザインを中心とした多岐にわたる分野にて飲食店をサポートしている。
記事:オト