新規開業でコストを抑えるポイント

新規開業でコストを抑えるポイントは何でしょうか。飲食店開業を長い間お手伝いしてきた吉川武幸さんにお聞きしました。

内装工事にかかる費用の相場

内装工事の中でも特にお金がかかるのが、グリストラップやトイレ等の水回り・フードダクト・エアコン等の設備工事です。その費用が内装工事費の7割くらいを占めています。スケルトンはこの費用が高いです。そのため、これらの設備が付いた居抜物件を借りれば、クロスや床、看板を取り換える程度の工事だけでオープンする事もできます。これなら工事費用をグッと抑えることができます。

ただ、居抜物件を借りる時は、おおよそ「造作譲渡」という費用を支払う事になります。しかし、この造作譲渡の金額も条件によって50万~500万円くらいの額になることがあります。

なぜ、これだけ価格差が出るのかというと、造作代金は単純に設備や機器に対する対価ではないからです。造作譲渡の金額は、まずは立地の良し悪しが大きく影響するのです。古くてボロボロの設備であっても、駅から徒歩1分の1等立地であれば、高額な造作譲渡代金が付くケースがあります。西新宿で大繁盛している有名飲食店は、造作譲渡費用がかかる物件を契約しましたが、スケルトンに戻してから、新たに内装工事をしてオープンされました。これは完全に、造作譲渡は立地への対価と割り切ってのことです。「造作譲渡費用が高いから設備面は安心」と考えるのではなく、内装業者や厨房業者の立会いのもと自分の目で設備や機器の状態を確認しておく事が大切です。

内装工事費の相場は、スケルトンで坪単価50~70万円、居抜物件で15~30万円が目安です。20坪の店ならスケルトンで1400万円、居抜きで600万円くらいです。これだけの金額差が出てくることがあります。

内装会社を決めるときは、2社くらい見積を取って提案を聞き判断しましょう。ただし、飲食店工事の経験の無い知り合いや友達にお願いするのは要注意。人任せになったり、言いたいことが言えなくて、大変な思いをしたお客様をたくさん見てきました。

居抜物件の出店を低コストに抑えるポイント

過去に、「居抜物件の契約後にグリストラップに大きな穴があいていることが発覚し、想定より工事が長くなり割高になって失敗してしまった」というお客様がいらっしゃいました。また、造作譲渡の機器の故障や不具合の説明をきちんと受けないまま、物件契約を進めてしまい、多額の出費をしてしまったという方もいました。

このように、造作譲渡の契約後に多いトラブルは、「事前に説明がなかった」「聞いていた話と違う」等です。前述のケースでは、前の借主が説明をしておかなければいけないところですが、新しい借主側がきちんと確認しておかないと後から痛い目に合ってしまいます。

また、居抜物件の契約後は、自分が使いやすいように厨房機器の位置を変えたくなりますよね。しかし、給排水設備の位置や排気フードの位置によっては、設備の増設工事が必要な場合があります。冒頭で話したように、内装工事で何よりも金額が高いのが水回りや空調の工事です。そのため契約前に厨房機器の位置もきちんとチェックしておきましょう。

ただし、居抜物件は貴重なため、気に入ったものがあれば早く仮申し込みをする必要があります。1物件に対して8件の申し込みが入る場合もあるからです。慎重になりすぎて手遅れになってしまったのではもったいないです。反対に、不動産会社から「手付金だけでも・・・」等と、契約を急かされても契約は慎重にしなくてはいけません。

テンポスでは、飲食店専門の物件仲介をしているので、居抜物件を仲介する時は前オーナー様からきちんとヒアリングをしています。また、内見の段階から厨房機器の程度や電気・水道ガス等の設備の状態も確認しており、トラブルを避けるために造作の売買時には機器リストを作成しています。さらに、看板やクロス、床などの内装工事も行っています。お気軽にご相談ください。(現在は首都圏に限る)

厨房機器にお金はかけない

新規開業するときは、厨房機器は欲しい商品ではなく、“必要な”商品だけ購入しましょう。「洗浄機あったら便利だろうな~」と思っても予算がないなら我慢しましょう。開業時は運転資金を少しでも残すことを優先し、オープンしてから半年が過ぎて、売上が増え、人手が足りないなと思った時に購入すればいいのです。「リースを使えば現金は必要ありません」なんて、甘い言葉をささやいてくるメーカーの営業マンの話に軽くのってはいけません。

お金をかけた方がいいのは椅子・テーブル等の家具

開業時にニトリ・イケアで家具を揃える方もいますが、家庭向けの家具は飲食店ではやめた方がいいです。使う頻度が高いため、耐久性が足りません。飲食店では掃除をする時に、椅子をひっくりかえしたり移動することもありますよね。その動作にも何万回と耐えられるのが業務用の家具だからです。デザインがいい、安いからという理由で家庭の椅子やテーブルを購入することはやめましょう。

今回は開業するときの物件の選び方や契約のポイント、抑えておきたい費用面についてお伝えしてきました。お金をかければいいという考えではなく、どういう人に来て欲しいのかをおさえて計画を立てて頂けたらと思います。開業や出店についてお気軽にご相談ください。

株式会社テンポスバスターズ

吉川武幸

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Smiler 編集部 TEL:03-6855-2205

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