変わりつつある飲食業界 すかいらーくの働き方改革に迫る!

すかいらーくグループの全従業員数は約100,000人。社員は6,000人で、多くはパートアルバイトの方々で構成されています。飲食会社の社員はたいへんだというイメージを持つ人は多いのではないでしょうか。しかし、すかいらーくのここ数年の新卒採用200人の内、7割近くがクルー出身者だそうです。変わりつつある飲食業界についてすかいらーくホールディングス広報担当の北浦さんにお話を伺いました。

プライベートの充実を重視

世間一般では、土日祝日はお休みの人が多いなか、飲食業は人が休んでいる時に働くのがあたりまえ、お子さんの運動会や入学式などのイベントに参加するのも難しいといったマイナスイメージが付きまといます。

しかし、すかいらーくではプライベートの充実があってこそ仕事のやりがいにつながるという考え方のもと、働き方改革へのさまざまな取り組みを進めています。

「すかいらーくグループでは今年からエリアクルー制度を開始し、マネジャーは1店舗の運営すべてを担当する個店単位の体制から、エリア全体でクルーの労務管理や人財育成をマネジメントする体制へと移行しています。クルーが育つことで、店舗のサービスレベルが向上しお客様の満足度を高めることにもつながります」

つまり、マネジャーは店舗運営を任せられるクルーを育て組織化することで、自身のプライベートな時間を創り出すことが可能になるわけです。

ライフスタイルに合わせた働き方

雇用については、ライフスタイルに合わせて3つの中から選べるようになっています。

①全国転勤可能な「ナショナル社員」

②引っ越しを伴わない近隣で勤務する「エリア社員」

③ひとつの店舗だけで勤務する「コミュニティ社員」

特に女性が働きやすい職場環境を目指しているなか、「子育てが一段落した主婦の方が10年近く働いた店舗のコミュニティマネジャー(店長)になって活躍するケースも増えてきました。介護の問題などで退職を考えたナショナル社員の男性も、コミュニティ社員になることで安心して長く働けると好評です。」また、変形労働時間制の採用で月間の総労働時間さえクリアできれば、一日の勤務時間は4、6、8、10、12時間のなかで選ぶことも出来ます。

働き方改革のカギはITの活用

すかいらーくグループは2017年、ワークライフバランスの充実を目的に多くの店舗で深夜営業の短縮をしました。休みの日でもお店のことを考えてしまうといったマネジャーの精神的負担を和らげることにもつながりました。年間の公休数も118日へと増やしています。

そして今年から力を入れて取り組んでいるのが、ITデジタルの活用による働き方改革です。店舗では、卒業や就職などでやむを得ず、退社をしなければならないクルーがいるため、常時入れ替わりが発生しています。新人クルーの採用、トレーニングが求められる中、ITで置き換えられる部分は積極的に活用し、業務改善につながるよう試みています。

しかし、従業員が使いこなせないITを導入するようなことの無いように、すかいらーくでは定年制を延長したこともあり、高齢者も含めた幅広い世代で使えるITという視点を大切にしています。「高齢者がより働きやすい環境を整備することはお客様の満足を高めることに繋がります。たとえば、テーブルオーダーシステムを導入してお客様とのコミュニケーションを取る時間を増やすなど、作業的な部分をIT技術でカバーしています。」つまり空いた時間はこれまで以上に接客面での充実を図っていく考えだそうです。働き甲斐は生きがいであること。すかいらーくのような社会のインフラとしての飲食店においても着実に働き方改革は進んでいるようです。

株式会社すかいらーくホールディングス 広報チーム 北浦 麻衣さん

東京都武蔵野市西久保1-25-8 0422-37-5310

www.skylark.co.jp

飲食業界の働き方改革
「あなたにとってハッピーって何ですか?」

千葉調理師専門学校 2009年卒業 谷川 純一さん

株式会社すかいらーくレストランツ ガスト 西千葉駅ビル店マネジャー

すかいらーくに就職した理由を教えてください。

すかいらーくには中途で入社しました。早く現場で働きたかったので一年コース終了後ブライダル会社に就職したのですが、お客様の笑顔に近いところで働きたいと思って転職しました。やはり店舗数が多いのが理由ですね。全国いろいろなところに行けるのでたくさんの出会いがあること。そしてクルー(注:アルバイトのこと)たちを育成するなかでたくさんの人を笑顔にする仕事だと思って入社しました。

調理師学校を卒業し、大手飲食会社で働いてよかったことは?

やはり、衛生の知識と経験ではないでしょうか。千葉調では厳しく教えられましたからね。実技でみっちり経験したことが今になって役立っているとつくづく思います。飲食で働くうえで一番大切なことが当たり前のこととして普通に実行できることが調理師専門学校卒業生の強みだと思います。

職場環境はいかがですか?特に労務管理については?

業界全体では待遇面で厳しい面があると見られていると思いますが、すかいらーくグループに関して言えば、改善は進んでいると感じています。しかし、いくら安心して働けるシステムがあっても、現場がそれを実行しなければ働き方改革は進まないです。これは自分たちのためにあるんだと思って挑戦しています。

それは、どんなシステムですか?

すかいらーくグループでは、今年からエリアクルー制度を始めました。クルーが複数店を掛け持ちして働ける制度です。希望する時間に働けるとクルーからも好評です。店舗数が多いすかいらーくだからできる働き方だと思いますし、お店をあずかる私、マネジャーとしてもシフトを組みやすくなりました。

また、この制度のおかげでクルーの組織化が進み、マニュアルを紙から動画にしたことでクルーの戦力化のスピードアップも進んでいます。今ではトレーニングができるマネジャーがデキるマネジャーなんです。

実は、クルーの4割が生まれて初めてアルバイトを経験する学生なんですよ。彼ら、彼女らが仕事を通じて自分に自信を持つようになって、半年も経つと新しく入ってきたアルバイトにあれこれと教える姿を見ていると、短期間で頼もしくなったなあ~と感動しますよね。

今や店舗はクルー中心で運営、マネジャーは個店からエリア管理へと仕事内容も変わってきています。

卒業生として、後輩に伝えたいことは?

飲食、外食は大きな業界です。より広い目で業界のことを知ってほしいと思います。調理技術も大切ですが、経営、サービスを通じて社会に貢献できることも大きなやりがいを感じると思います。