立地とターゲット、そして絶妙の価格設定
店を構えるのは渋谷駅から急行で2駅とアクセスが良く、住みやすい町と評判の学芸大学駅から徒歩1分の場所だ。間口が広く灯りを付けるとひときわ目立つ。看板メニューの「レタス肉巻き串」は1本299円。他、180円、250円の野菜巻きを多数揃える。全てのメニューの中で1000円を超えるメニューは、あえて「串物おまかせ5本セット(1080円)」「自家製味噌仕立てのモツ鍋(1280円)」の2品のみ。客単価は3800円から4000円に想定し価格を設定しているのだ。
「この金額だったらまた来れるな、と少し安く感じてもらえる客単価に設定しています。もちろん最初から想定通りにはいきませんので、メニューを変えていくため、メニュー変更は他の店よりも多いのではないでしょうか。」
1年前に同じ沿線に出店している祐天寺店では1年間に10回メニューを変更した。
メニューを変える頻度が高い理由とは?
同店が一番重視しているのは料理の提供スピードだ。通常であれば、「レタス肉巻き串き」は仕込みに時間がかかることはもちろん、焼き時間も15分はかかるメニューである。しかし薄田商店は、通常の半分の時間で焼き上げる仕組みを持っているという。(残念ながら企業秘密)美味しさを保ったまま提供時間をどう短縮するか試行錯誤の上いきついた方法だ。
他にも、提供スピードを徹底的に短くするオペレーションを追求し、小分けにしたり、盛るだけの料理を開発することはもちろん、ビールはグラスに注ぐ時間が長くなるという理由から、ドリンクのメインは瓶割のサワーだ。ビールはメニューの隅の方に小さく書かれているだけ。乾杯ドリンクの提供時間は、他の店よりも3分の1に短縮できる。
これほどまでに、なぜスピードに徹底しているのか理由を伺うと、
「飲食店のクレームの1位は、提供のスピードです。いくら美味しい料理を出しても、いきいきとした接客をしても、スピードが遅ければお客様は不満に感じるのです。飲食業で大事なことは、お客様が求める時間と求めている価格で勝負することです。そのため、値段も含め何度でもメニューを変更していきます。料理には自信がありますので、まずは不満の要素を解消していくことが先決です。結果、それが一番お客様に喜んでもらう方法だと思いやってきました。」
その“店らしさ”を作るには
料理の提供スピードを上げる一方で、お客様とコミュニケーションをとる仕掛けにも抜かりは無い。「薄田商店」のドリンクメニューは、「純米酒 辛い」「日本酒 重い」といった、誰が見ても分かる表記にする一方で、よく見ると遊び心も入れている。「店長の隠し酒」「いつものハイボール」と記載することで、「店長の隠し酒って何?」「いつも頼んでないけど、いつものハイボールお願い!笑」というような会話に繋がるのだ。「祝酒 モエシャンパン 1万2千円」「ドンべリニヨン 3万円」等、「こんなの頼む人いるの!?」、と思わず突っ込みたくなるラインナップも用意されていた。
月曜日にも関わらず19時過ぎにはほぼ満席。お酒好きの女性3人組から取材班に、「この店、いつも人気なのよ!美味しいの。」と、加藤さんの前で熱く語る彼女たちから、がっつりファンを掴んでいる薄田商店の強さが伝わってきた。
取材協力
株式会社DLE
取締役 CFO 加藤悠介氏
店舗:野菜巻き串 薄田商店 学芸大学店
東京都目黒区鷹番3-3-16
03-6303-2657
キャプション
- 平日月曜日19時過ぎにはほぼ満席に
- 撮影班の隣で飲むお姉さま方「ここ美味しいのよ!」と撮影も即OK!
- 看板ムスメのお2人。めちゃ元気!