ありそうでなかった、日本酒と料理どちらも満足させる店

2018年1月、日本橋店に一号店がオープン。その後神田お茶の水店、神保町店、日本橋室町店と着々と店舗を増やしている「和食日和おさけと」。どの店も予約なしでは入れない月商600万円以上の繁盛店だ。さらに今年7月、5店舗目となる新店が神楽坂にオープン。スピード出店の理由と繁盛の秘訣を代表の山口直樹氏にお聞きしました。
日本酒のプロ山口正樹の誕生

山口氏は唎酒師、酒匠、SAKEディプロマすべての免許を取得されています。しかし、意外にも、山口氏はワインからスタートしました。23歳でソムリエの資格を取得した山口氏はある日、田崎真也氏の本を読んだことがきっかけで人生が変わりました。

「世界最優秀ソムリエコンクールに日本人として初めて優勝した田崎さんのことを知りたくて本を読んでいたのですが、その中に一躍有名人になった田崎さんにフランス人が尋ねてくるのは日本のお酒のことばかりだったそうです。しかしその時、田崎さんは日本酒のことをほとんど話せなかったと書かれていたのです」

それを知って山口氏は「日本人として日本酒を学ばなければならない」と決意したのでした。

常に、お客様に新しい体験を提供する

近年、醸造技術は急速に進化しているのをご存知でしょうか。小規模の酒蔵でも酒質が著しく向上しているのです。

「昔と違って日本酒が美味しいのはもはや当たり前なんです。それよりも特徴が何で、どんなストーリーがあるのかが大切になっています。チャレンジする若い人も増えているんですよ」

全国各地のまだ見ぬ美味しい日本酒をより多くの人に楽しんでいただきたいと「和食日和おさけと」では厳選した日本酒を常に80種類以上用意しています。しかも、2週間でその半分の銘柄が変わるというから驚きです。山口氏曰くこれが「ディズニーランド戦略」。ディズニーランドが常に新しいアトラクション用意してお客様を楽しませるように、「和食日和おさけと」もお客様が来店するたびに新しい日本酒に出会い、発見できるようにしているのです。

「だってご来店いただいたお客様に毎回違った日本酒を提供した方が我々も楽しいじゃないですか」

日本酒が好きな人が集まってくる

これほどの数の日本酒を提供できる強みを生かして、ターゲットを日本酒の通にしたところ、これが大成功。日本酒の作り手の想いを語ることでお客様との会話も弾み、日本酒も自然とおいしく感じることができます。

「その日の気分やご来店の目的、そして今日の料理に合う日本酒について時にはお客様のニーズを探るなど、お客様と会話を楽しみながらおすすめしています」

それではなぜ、「和食日和おさけと」はたった一年足らずでこれほどまでに繁盛しているのでしょうか。山口氏は惜しげもなく教えてくれました。

「まず、ビジネス志向の接待需要にターゲットを絞ったことですね。立地はビジネス街に限られてきますし、日曜祝日を定休日にできるメリットも生まれます。そしてどの店舗も30坪前後がお客様との最適な距離感を保つことが出来るちょうどいい空間なんです」

もちろん、集客にも力を入れています。「和食日和おさけと」のディナーの客単価は8,000円前後。このターゲットには一休ドットコムがベストマッチしているそうです。ぐるなびや食べログにも掲載はしていますが、「和食日和おさけと」をより多くの人に知っていただくためと割り切っています。

取材を通じて、この店は学ぶ姿勢にあふれていると感じました。実際、スタッフのテイスティングは自由です。お互いの感想を述べ合うことで、お酒の特徴を上手くお客様に伝える技術を習得しているそうです。

最後に、おすすめの日本酒を訪ねたところ、「それはうちの奥さんの実家の蔵元のお酒ですよ」ということでした。ごちそうさまでした。

取材協力
和食日和おさけと日本橋室町店
TEL. 03-6262-7984
東京都中央区日本橋1-6-7 3F

記者:スマイラー特派員
谷口光児(テンポス広報部)