人生の師

楽しみながら、生きている。
義理の兄貴
実直で話好きな兄貴。
浜松に住んでいて、問屋の営業部長。
天竜川沿いの町の雑貨屋に、靴をおろしていた。
営業の途中で、田舎の谷あいを、車で抜けるわけだから、川に降りれば、格好の良い流木がある。
崖を見上げれば、岩芝をはじめとして、変わった苔がある。
沢に降りると、山葵が見つかることもある。
30前に、新築した家の周りは、ガラクタだらけ。
臼だの杵だの見つけて来て、毎年、年の暮れには、友達をよんで、1日がかりで餅をつく。
つきたての餅に、大根おろしが旨くてよと、言っていたのが、この頃では、
「篤史ぃ、餅には、納豆が合うなぁ」に変わって来た。
2月には、その、臼と杵で味噌をつくる。手の混んだ事が好きだと見えて、大豆を、蒔きで焚き上げるのに、朝の4時おきで10時間の余、昼過ぎになってやっと、豆を潰す。
これが、1斗の余あるので、5時になっても終わらない。
冬の日は、暮れるのが早い、日が陰って余計に寒くなる。
コードを引っ張って来て、薄暗い庭で、友達と、文句ばっか付ける女房の、3人で、やっとこ7時頃終わる。
毎年やっている。
友達の小舟を借りて、浜名湖、今、アサリ取り真っ盛り。
観光じゃないので、びっくりするくらい大きくて、分けて貰った親戚衆は、
「透!アサリはまだかあ」季節も考えないで勝手なことを言ってる。
山菜から、きのこから、はては、自宅の脇の土手に、炭焼き窯を作って、浜松市から、時々注意をされるんだが、土手の草刈りを、無料でやってやってるんだからなどと、適当なことを言って撃退している。
そのうちに、土手を耕して、300坪近く野菜畑にした。
琵琶の木の下には、鶏小屋作って、ちゃぼ、だかなんだか、堂々とした姿勢のでかい鶏を飼って、離してあるが、近所のいぬは、あまりの立派さにうたれて、わん!とも言わぬ。

俺もそれなりに、ビューティーフルライフの道を目指してはいるんだが、
義理の兄貴の、自然さには、全く及ばなく、俺のは、まだまだ無理があるような気がする。
いやいや、あんたも相当な自由人だよ。奥さんが、偉いんだねぇ、何で奥さん出すんだよ!