三年前、津波のとき、紀州白浜にいた。

津波対策とはいえ、日本国中が、のんびりとしたものであった。

女房と紀州白浜に1泊して、バスで、JR白浜駅に向かう途中、ところどころに、鉄骨のやぐらの上に、町内の老人が座り込んでいる。宴会をやっている様子でもない。

 午後の5時頃 白浜駅は、切符売り場に行くのもやっと、ごった返していた。oお昼から、列車が、ストップ。再開の、めどが立たず。

 改札で、5人の男が、駅員の、首を掴みかからんばかりに、大声で、怒鳴っている。其処を中心にして、人だかりがしていたわけだ。

 やたら声がでかいだけで、さっぱり要領を得ない

真面目そうなだけで、生きてきた駅員

「ですから、私に権限がありませんので、へんじができません」 

「だから,駅長を出せと、いってんじゃぁねぇか」

 聞いて見ると

昼の、12時半から、1時間ごとの、特急指定券をもっている人が、自由席の人と、同じ扱いをされていることに、腹を立てているようだ。

 2時半の指定券を持っている人が、駅に着いたとき、すでに駅に来ている自由席の人が並んでいる

 其の後ろに並ぶのが、納得できない。

4時半5時半の、指定券が、2時半の指定券よりなんで前にいるんだ。

 先に着いた順に、並べるなら、指定券じゃないじゃないか

「ですから、其の該当の、列車が、来ない以上,其の券は、むこうです。」

気が弱そうな割に、言い切っている

責任をとる気もないくせに、規則だからって、言い切っている態度が、少しくらい、つるし上げてもらった方が、本人のためになるぞ、なんて見ていたが、いつまでたっても、大声発生コンテストが終わりそうもない。

 ここは、俺の出番

話に割って入った

「確かにあんたたちの言うことは、一理ある」

大事なことは、大声を出してる人の言うことを、先ず同意してやる、これで俺の言うことを聞く、状況が出来る

「みなさぁん、此の人たちの言う通り、指定券の順に並んでもらいます。

まず、12時半の指定券の人たちいましたら、一番前に来てください、」

5~6人が来た。他の人を押しのけて、一番前に並べた。

「12時半がいなければ、次は、1時半の指定券の方」

「はいはい」

「押さないで、押さないで、安心してください、席は全員にいきわたるようにしてありますから」

「次は、2時半の方、」

 日本人は、なんて素直何だ、秩序を大事にするすばらしい国民だ

だってそうだろうよ、

 俺の服装、

 海辺に魚網の、繕いが終わって、焚き火に当たっている漁師、

首に、手ぬぐいを巻いて、灰色だか、薄青いだかの、ジャンパーと、魚臭いような、よれよれのズボン。

 まるで地元の、漁師風のいでたち

其の時のおれの、姿がそれ 

群集が冷静に俺を見れば、「漁師が、なに、でしゃばって!」 

にもかかわらず、群集は三列に並んだ、並びきれない人、30人ほどが、駅から、はみ出した。

 ただ、一番前にいた、自由席の女4人が、動こうとしない、

「あんたたちは、指定席の人の後です」

「何で、あんたがそんなこというのよ」

「並んで並んで」と言いながら,乳をかるくもんでやった。

「さわらないでよ!」

群集は、何をしているか分からないし、見た目は、地元の漁師だし、

俺の頭は、冷静だ。もう一回揉んだら、張った押されてしまった。

欲に、目がくらんでしまった。