森下流経営哲学
あるべき姿と現在どのようにやるか、この落差が非常に大きい。
会社を三人で始めたとき、俺はどうしてもこの二人がいないと組織を作れ無い、能力よりも俺以外に二人いることが大事で、俺一人になったら採用するのにまず人は来ないと思った。
一人の会社で採用するのは、三人の会社で採用するのにくらべて、比較にならぬ困難さがあると思った。
会社を大きくしようと思っていたので、採用することは大事な要件であった。
俺33才 27才と20才の三人で始めた。
俺はこの洗浄機を売る仕事をするに当たって、朝5時から弁当屋を回り、8時に会社が始まる時には3~5軒の弁当屋を訪問していた。
夜は9時前には会社に戻らないときめて、過労で倒れるくらいやって「めど」が付かなかったら、この仕事をやめようと決めていた。
やめるかどうか決めるのに過労で倒れないといけないのだから、夜討ち朝駆けでやった。
二ヶ月目には粗利で70万を手にした。今から33年前のこと。
この年、西郷輝彦の年収が1500万で、歌手の中では5位であった。
一年で俺は1300万を手にした。
スタートして、この二人は、飛び込みをあまりやら無いので、見込み客もなく、7月のある日二人は日に焼けて、真っ赤な顔して帰社して来た。
問い詰めたら、田舎者二人して江の島に行って来たとのこと。
2ヶ月経って給料 ゼロ 共同経営者なので、固定給はなかった。
なのに、江の島 見込み客もないのに。
三人で、家賃1万2千の倉庫の二階に住んでいた。トラックが走っても大揺れするので震度2くらいの地震でも、三人は道路に飛びたして、近所の人は誰も家から出て来て無いのを見て、笑いあった。
風呂に行くと二人は洗濯機で100円乾燥機で100円、ビール250円。給料 ゼロ なのに。
俺は洗濯は毎日少しづつ洗面器でやった。勿論ビールは飲まない。売り上げをあげるまでと決めていた。
もっと日に焼けて来た、今度は社会人野球を見て来たとのこと。
二人の貯金は残り8万しかない。
辞められたら他の人を採用するのは、至難の技。何としても残さなければならぬ。
この二人を見ていると「窮鼠猫に噛まれる」「背水の陣」など敷くと後ろの河に落ちてしまうものだと思った。
切羽詰まったって何もしない。そのまま消えて行く。
この事はあとあと、人の見方を決めるのに大きな影響をした。
二人は売り上げなしでビール飲んで洗濯機と乾燥機で毎日450円、5ヶ月位で金がなくなってきた。
いなくなったら、もう組織は作れない。俺は悲愴感に苛まれる位なのに二人は洗濯機とビール。
アパートから、大森市場が見えた。
市場に行って早朝の仕事をさせてもらえるように頼んで来た。
朝4時30分からで月に8万もらえるという。10時には終るので其れから営業に回れば十分の時間が取れた。
ことろが、8万入るようになったら、10時に会社に来ても営業に行こうとしなくなった。
更に半年経って15万/月で、給料を払って俺の仕事をやってもらうようにした。
ひたすらこの二人がいなくならないようにするためであった。
この二人の給料は実績をあげ無い限りアップしなかった。
先ずは自分が貯金する。家族が安心して暮らせるめどがつくまで、この二人の給料はそのままであった。
3年過ぎて経営のメドがついて初めて給料をあげた。ボーナスも出した。
小遣い付きで社員旅行も4泊で行ってきた。
ある日、世界の難民の救済の寄付を求めて来た。一銭もださない。そんなものは俺と関係ない。
この二人が喜ぶくらいの給料も出してい無いのに、少しの利益が出るようになったからって、難民になど寄付できるわけがない。
安心して経営出来るまでは5年くらい脱税をした。
利益が3000万を超えて来た時に、税金を誤魔化すより、経営に知恵を使おうと決めた。
それ以後沢山税金を払うのは経営者の責務であるとの姿勢で、ごまかすのはやめた。
富士に有る障害者の施設に、300万寄付した。
何年か前に洗浄機を買ってくれた施設だった。儲かってきたからそうした。
だが世界の難民には寄付しなかった。会った事もない、知らない人に寄付する気にはなれない。
自分がダフ屋だっとして、2万の入場券を5万で買う人がいたら5万で売るか。
どんな事情か知らないが、5万の入場券はその人にとって、5万に変え難い価値があったろう。
法律は兎も角として、欲しい人がいたら5万で売る。俺は売る。
では、お客さんに生産設備を売り込みに行っているときに、350万の機械で十分、少し過剰設備である。
ところが、何回か訪問しているうちに、その客は物を持つ事が好きで、分不相応の車に乗ったり、高価なゴルフ道具を揃えていた。
競争会社が850万の見積もりを出した。客は気持ちが850万に行っている。このままでは失注する。
明らかに過剰設備、こちらも850万に匹敵する高い機械を売るかどうか。
客が欲しいと言ったから売るので、押し付けるわけではない。騙したわけではない、売るか。ダフ屋と同じか。
答え「売る」
誇りをすてて「売る」。商売だったら、土下座もする。女のまたぐらもくぐる。こちらが正しくたって謝る。
買ってもらえるなら、自分を捨てる。
しかし!誇りを捨てて土下座をするのと、必要もない機械850万をうるのでは違う。
顧客満足は、「顧客が満足をすれば良い」ではないと思っている。
長雨が続いてレタスが急騰した頃だった。オーケーストアーの売り場に行ったら、POPに、長雨でレタスが急騰しています。栄養を考えるなら「小松菜」をオススメします。値段は半分で栄養は二倍もあります。というようなことが書いてあった。
別の日
今はカリフォルニアのグレープフルーツの季節が終わり、イスラエル産が入っています。イスラエル産は、カリフォルニア産より糖度が低いです。とかいてあった。
まるで売りたくないようなPOPではないか。
ここに、オーケーストアーの良心を見た。
欲しいといっても、不必要な過剰設備は「売らない」こうなりたい。
今は「売る」悪い事をしているのではない「売る」
経常利益が100億を超えたら「売らない」
スジャータの名酪は、サプリメントを無料で送り続けている。もう10年も。
何十万人に送っている。
その心意気!
東北震災の寄付の様な派手さはない。報道もされない。
金額に換算すると、3000円/月×12月×20万人=72億/年 全くの推定ではあるが。
3~4ヶ月にいっかい、送り先を紹介して下さいというシートが届く。
テンポスもそうなりたい、利益が間もなく20億になる。100億もでたらめではなくなる。
そうなったら、賞賛され無いように密やかに、お役に立ちたい。
そうなったら850万は「売らない」
ちかずこうとしてやり始めたことがある。
何人も失敗した空き店舗は紹介しない。
大した働きもし無いのに、口銭を取らない、紹介料を貰わない。
飲食の店長教育1泊2日を、無料でやっている。
大工さん紹介システムを作っている。紹介料は取らない。
東京の繁盛店見学会を、無料でやる。名古屋 大阪 福岡と順次無料でやる。
本業以外の仕事は極力金を取ら無い。
経営者勉強会を月一回 会費は会場費の3000円
総務人事部の勉強会 月一回 テンポス事務所にて、無料。
でも、未だ未だ「スジャータ」の足元にも及ばない。