テンポスの創業社長、森下篤史の日々、経営で感じることを記事にしていきます。
会社が増えてくると、協力や、情報の共有化が欠かせない。だが、どの様に協力関係を築くかのまえに、それぞれの会社が健全な仕組みの中で、活動しているかが大事であったりする。
その一つとして、「水が低い方にスムーズに流れるようになっているか」だ。組織に競争原理が無理なく働いているか、降格交替がスムーズに出来ているか、それらの判断は社長が優しいかどうかに、関係して来る。優しい社長は甘い。言い切れないわけではないが、優しいのと、甘いのが同義語の様な接し方をしてしまう。
部下にやった事無いことをやらせる。嫌がってもやらせられるか。断固とやらせられるかと言うと、怒鳴りつけたり、時には引っ叩いたりの、イメージがあるが、断固として言うのと、大声を出すことは、同じでは無い。優しく言おうが、説いて諭そうが、断固としてやらせられる方法はある。だが、餌で釣ったらおしまい。「それをやったら、欲しがっていたPCを、買って上げるからね。」と言うのはダメだ。「断固として」というのは、条件交渉ではなく、貴方にあげるものは、何一つない、だけどやらせるということである。「それをやったらテレビみても良い」、なんていうのも最悪!条件付きであるからだ。
優しいと思われる人の中に、争わないを心情にしている人がいる。先日 田舎の実家に、檜で風呂桶を作った。親戚が集まった時、みんなで一度に入れる様に大きくした。2メートル×1メートルで深さは50センチある。3人で楽に入れる大きさだ。だが、村の桶屋に頼んだのがまずかった、水が漏る。1時間に、湯が7センチ減る。自動排水装置付きだと思えば、腹も立たないが、夕方一番風呂に6時にはいって、次が10時だと、湯は足首、今はまだ良いが、俺の村の冬は寒い。年の暮れの正月の準備に、実家に来た女房が、紅白の前に風呂に入ろうと、両手を震わせながら、風呂の蓋を取ったら、足湯でした、なんて事になったら、戻って来てコタツの上の、年越しそばをひっくり返すだけでなく、首を噛みちぎられる。俺の左側の耳が、半分欠けているのはそのせいである。断固として、優しく伝え、やり直してもらわないと、俺の身がやばい。医者から、頸動脈のつまりが無くなった。と言われたばかりなのに、首を噛みちぎらせるわけにはいかない。
話しがそれた。組織に、競争原理が働いているかだったな。競争原理が働いている基準の一つとして、スムーズに、降格交替させられるか、である。出来ているという社長のうち、優しい社長は、80%降格交替出来ていない。出来ていると自分で言ってるだけ、自分にも甘いと言える。評価制度を作る時は、スムーズに、降格交替させる仕組みを作ると良い。
組織の競争原理が働いているかには、もう一つある。我が社も、グループ会社が、9社。「あさくま」が、出店しようとすれば、内装工事から、厨房機器、食器までも、テンポスで賄えてしまう。グループ会社の代表取締役社長である私は、テンポスで買ってくれよと言うことになる。「あさくま」の社長の立場でものを言えば、同じ様な品質なら、テンポスに限らず安いところから買うべきだ。どちらの考え方の方が、水の低気に流れる様な無理の無い考え方と言えるか。むろん、「あさくま」にとって一番良い方法を選ぶべきだし、それがお客にとって一番良い方法であることは最低条件だ。結果、「あさくま」の内装工事は、グループ会社ではなく、他社でやったこともある。他社にとられるようなグループ会社でなければ、いずれなくなる。反省と研鑽を繰り返して、今では、他社に取られる事はなくなってきたが、たまにはある。
組織の健全性の判断がつかなくなったら、客の方を向いてるか、組織の方を向いてるか。その組織が、スムーズな、競争状態になっているかをみておけば、判断をあやまることはすくなくなる。
株式会社テンポスホールディングス
代表取締役社長 森下篤史