喜多方ラーメンに衝撃受けて、洋食から転身
2020年11月28日、老舗の「美由紀食堂」跡(1964年創業、2018年閉店)にオープン。
コロナの時期にオープンしたからか、対策はバッチリ。テーブルをカウンター形式にし、なおかつ隣とは一蘭風のがっちりした木の仕切りを取り付け、店内はあまり見えない。テーブル(座敷)は家族や複数向けに活用。
店主は銀座の有名洋食店「つばめグリル」で17年勤め上げ、チーフシェフにまでなった人。喜多方ラーメンに衝撃受け、奥様の実家のある会津若松で出店した。ハンバーグは「つばめグリル」の名物メニューで私も食べたことがある。この店に来て、ラーメンだけだと「未食扱い」になりそうなので、連食予定だがハンバーグセットを注文。その際に「値段は同じでもいいのでライスは要りません」と言ったら100円引きにしてもらえた。+400円でハンバーグが付く、と考えるとサイドメニューとしては安い。おそらくハンバーグ定食の半分くらいの大きさだがここに来たら最初は「ハンバーグセット」一択でしょう。会津若松のラーメン店ではサイドメニューはソースかつ丼が定番だが、そこに風穴を開けそうだ。
衝撃を受けた喜多方ラーメン店とは?
喜多方ラーメンに衝撃を受けて店を出したくらいだから、似たような味で出しているのではないかと、その「衝撃を受けたお店」を当てることが私の目的。半透明なスープだが煮干しががっつり効いておいしい。衝撃を受けたお店は「さゆり食堂」に違いない、などと思いながら、おいしく完食。
スープは煮干しの風味を活かすため、伊達鶏と豚ガラと煮干しを時間差で入れているようだ。チャーシューは柔らかくておいしい。1枚50円でトッピングができるので希望に応じて追加可能。次回来たら6枚追加で1,000円で頼みたい。麺は典型的な喜多方風中太縮れ麺。(あとで聞いたら曽我製麺だった。)
最後に会計時に店主に聞こうと思ったがラーメン作りで忙しい。奥様がレジに来たので聞いてみたら何度も聞かれてるかのように慣れた感じでスラスラと答えが返ってきた。「今は閉店しちゃったんですけど「さゆり食堂」と「はせ川」です」と迷いなく、よどみなく。確かにそういう感じのラーメンで実においしかった。
店名:らぁ麺 まえ田
住所:福島県会津若松市米代2-7-16
記事執筆
大崎裕史(おおさきひろし)氏
(株)ラーメンデータバンク取締役会長。日本ラーメン協会発起人の一人。東京ラーメンショー実行委員長。1959年、ラーメンの地、会津生まれ。広告代理店勤務時代の1995年にラーメン情報サイト「東京のラーメン屋さん」を開設。2005年に株式会社ラーメンデータバンクを設立。2011年に取締役会長に就任。「自称日本一ラーメンを食べた男」(2021年5月末現在約13,500 軒、約27,000杯実食)として雑誌やテレビに多数出演。著書に「無敵のラーメン論」(講談社新書)「日本ラーメン秘史」(日本経済新聞出版社)などがある。