「宅麺.com」はなぜ全国のラーメン店から支持されるのか

グルメイノベーション株式会社 共同創業者 取締役 営業部長 野間口兼一氏

コロナで飲食業界でもネット販売を利用する店舗が増えてきた。そこで、今回注目したのはラーメンの通信販売だ。10年以上、ラーメン専門のお取り寄せ通販サイト「宅麺.com」を運営してきた株式会社グルメイノベーションの取締役、野間口兼一さんに、通信販売におけるラーメンのトレンド、売れるラーメン店の特徴を伺いました。

「宅麺.com」を立ち上げたのは10年前です。一軒一軒お店を回り掲載店舗を開拓していきました。また、当初から、とにかくラーメン店の助けとなる通販サイトにしよう、店主さんの負担になるようなオペレーションにしない、この考えのもとビジネスモデルを構築してきました。今でもその考えは変わっていません。

「宅麺.com」の仕組みはこうです。まず店舗さまには店で炊いたスープや麺、具材を冷凍して袋詰めまでして頂きます。その後、希望する曜日と時間帯に、私たちが冷凍集荷に伺います。その後注文が入ったら私たちの工場からお客様に発送するという流れです。当初は、注文が入ってから店舗さまに発注していましたが、それでは急な注文に対応しなければならない等、店舗側の負担が大きいことから、今の流れに変更しました。つまり、「宅麺.com」は売れたら商品代金の手数料をいただくのではなく、私たちが先に商品を買い取らせて頂いています。店舗さまには、今いる人員やスキマ時間で出来る収入源として「宅麺.com」をご利用頂ければと考えています。

買取価格はいくらでしょうか?

「宅麺.com」の販売価格の50%です。この数字だけ聞くと、「高いな・・・」と思われる店舗さまも多いでしょう。でもこれには2つ理由があって、まず「宅麺.com」で販売する価格は店頭価格よりも若干高く設定しています。また袋詰めに必要な圧着機や包材は「宅麺.com」が無償で提供しており、さらに一番コストがかかる店舗から工場までの冷凍の配送費も「宅麺.com」が負担しています。そのため、決して粗利が高い商売ではありません。サイトの立ち上げから7年間は収益はほとんありませんでした。ただこの3年で徐々に売れ始め、今はしっかり運営できる体制になってきました。

実際、売れゆきはどうですか?

人気店だと週に2,000〜3,000食が売れています。「宅麺.com」全体でいえば週に20,000食以上でていますね。また、新発売するラーメンは毎回200食ほど用意してもらうのですが、26万人のユーザーを持つ当社では、ほとんどが完売します。でも大事なことは実店舗と同じくリピート客がつくかどうかです。販売数の多い店舗さんに共通していることは「商品をもっとよくしよう」「お客様が驚く仕掛けをしよう」、そんな工夫をされていることです。お客様の手元に届いた時にどんなふうに商品が完成するか、それをイメージしながら、工夫されているお店は強いです。

ネット販売で売れるラーメンの特徴はありますか?

そうですね、単純に通信販売のトレンドからいえば、濃い味のものは人気ですね。いわゆる二郎系やパンチのある特色のあるラーメンです。醤油ラーメンや塩ラーメンとは違い、二郎系や濃厚なつけ麺は、市販のものではなかなか再現できません。そのため、店舗の味をそのまま家庭で味わえる「宅麺.com」でも、これらのジャンルが人気です。

「宅麺.com」では、ラーメンを注文すると送料も入れ2000円を超えます。それでもなぜ売れるのでしょうか。

安売りをしない。これが僕たちが生き残れた理由だと思っています。セールをすれば一時は売上があがるかもしれない。でも、その分、どこかでコストを抑えないといけなくなります。そうなると最終的に皺寄せがいくのは、商品を出してくれる店舗さまなんです。

私たちは、「ラーメン屋の味をそのまま家庭で食べられる」、これはすごく価値があることだと信じて、安売りはせず、資金は仕組みの部分や、お客様向けのサービス向上にすべて投下してきました。例えば、商品紹介ページは一店舗一店舗、プロのカメラマンが商品撮影を行い、商品紹介はプロのライターが書くなど、一つ一つ丁寧に作り上げてきました。今後もサービスに磨きをかけながら、「宅麺.com」がラーメン店にとってはなくてはならない存在となれるよう力を入れていきたいですね。

取材協力

グルメイノベーション株式会社

共同創業者 取締役 営業部長 野間口兼一氏

東京都渋谷区松濤1-28-2

TEL:03-6407-8128

「宅麺.com」

記者:スマイラー特派員
乙丸千夏(テンポス広報部)