株式会社 ネバーランド アイ 代表取締役社長 澤田 泰広
経理部長 兼 プロデューサー 松田 真治
飲食店の店舗運営はこれからどう変わっていくと思いますか?
一等立地に対する考え方が変わると思います。いままでだと駅の近くが一等立地だったわけです。2等、3等立地だとどんどん駅から遠くなっていく。でもUberで飲食するとなれば、立地は関係なくなります。Uberの配達範囲は2㎞です。ドライバーからすると駅と駅の中間の店の方が都合よく両方のお客を取れちゃうんです。知り合いの店が、祐天寺から10分くらいの三宿にあります。だから三茶のお客さんも取れちゃうわけです。
つまり2等、3等立地でも十分採算の取れる飲食店を経営できる?
美味しい料理と人がいて、裏でUber業態をやってオモテはカウンターだけのちゃんとしたお店。お客様を限定してわざと人を集約することで店のブランドを上げる。回転率ではなく一日一回転で営業しても裏ではUberで商品を回す。そういうデリバリーとイートインを上手く組みあわせた、入り口が2つある飲食店がこれから増えていくのではないでしょうか。一時流行った隠れ家的な店がこれからは商売しやすくなっていくと思いますよ。
そこではやはり、提供する料理の魅力が際立ってきますよね?
デリバリーで余裕を持たせた分、イートインで食材のクオリティを上げた話題性のある料理を提供する。でも食材っていくら高くても限度があるわけで、あとは店内をいかにエンタメ化できるか、VRを入れたり、プロジェクションマッピングで狭い店に季節ごとのコンセプトの映像を写したり、そういう世界になってくると思います。体験という付加価値を上げない限り、食材だけでは限界がある。もちろん原価が上がれば価格も上がりますが、そもそも人が食べれる量は決まっているので、料理だけで客単価が2倍、3倍にはならないでしょう。
つまり、行きたくなるような仕掛けが大切になるのですね?
そういう場所って、会員制のほうが目立つじゃないですか。チェーン店がやっても何の店かわからない。それだったらZOOMを使って離れた人と、別の店の人と飲み会をやるのもいいのではないでしょうか。今は自宅でオンライン飲み会が人気ですが、これをきっかけに店舗と店舗で飲み会をやるとか、さらには日本だけでなく世界中の人と飲み会が出来る店とかできるのではないかと思います。席にスマホホルダーを用意するだけで出来ちゃいますから。そういう体験が飲食店の価値になってくると思います。
新型コロナは特に飲食業に大きなダメージを与えましたが、飲食はコロナ前の元の姿に戻るのではなく、新しい方向へと進んだほうが幸せなのではないでしょうか?
そうですね。元に戻りたかったらスマホを持たなきゃいいのに、と思ってしまいます。今の時代に生きるなら、新しいことにチャレンジしてこそ飲食の新しい可能性が生まれるように思います。
店内以外でもビジネスの可能性が広がりますね?
売上だけで言うと、間違いなくイートインの方が大きいと思います。だからUberだけでなく、イートインは欠かせないと思います。うちが今やろうとしているのは、Uberで5業態。Uberでフードコートやって、それを店内でもやってみようと考えています。唐揚げが食べたい人、カレーが食べたい人、それぞれ好みが違っても4人とも満足させることが出来る。イートインでは、お皿に盛り付けるのではなく、わざとUberと同じパッケージングで出し、飲み物はペットボトル持参でもいいのかなと思います。Uberの時よりも安く提供できますからね。
飲食業で利益を生み出すのはチェーン展開だけではなく、店舗以外で何をするかだ。新型コロナウイルスによるテレワークをきっかけに、飲食店のDX(デジタルトランスフォーメーション)が劇的に進もうとしている。
取材協力:NE 酒(bar)LAND 宴
東京都品川区戸越1-15-15 百番ビル2F
TEL 03-6426-8439
谷口光児(テンポス広報部)
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