坪数70坪(外)15坪(内)、客席50席(外)24席(内)、客単価ディナー5,000円、ランチ1,500円、月商500万円
広島のど真ん中にも関わらず、人目も気にせず緑に囲まれながらお酒と料理が楽しめる店。この場所で、この空間ありきで始まった『Cafe Baraka』のコンセプトは何だろう?
「うちだけでしか味わえない体験、そういうところを楽しんでもらう。だからシェフの矢部さんの料理もここだけでしか味わえないですし、この緑の空間もここだけでしか楽しめない。店に入るまで、普通の住居みたいにオートロックをくぐってくるときに、本当にここで合っているのかな?みたいな感じも含めて体験してもらうことですね。ちょっとよそには無い体験が少しずつ積み重なって、ここにしかないお店という風になればいいなと思っています。」
確かに、僕も何度かお邪魔したのだが、つい誰かに言いたくなります。
「昔から僕はこういった隠れ家的なお店が好きでした。お店にたどり着くことも体験にしてしまうと、お客さんはそこで一つハードルを超えて来てくれるわけじゃないですか。ワクワク感というか、入ってきたときにはすでに楽しもうというモードになってくれている。そうくれば、あとは良いサービスをするだけみたいな感じですね。」
路面店だとパッと入ってパッと出れるので行きやすいけど、たどり着くという付加価値は得られないですよね。
記憶に残るレストランを目指すなかで、店内ではどんな仕掛けがあるのでしょうか。なんといってもこの店の売りはベランダにあるテントで作られた“ガゼボ“が特徴です。予約もこちらから埋まっていくそうです。
「雰囲気はあるけどお料理は普通だとか、お料理は美味しいけれども普通の空間とかあるじゃないですか。空間が良くてお料理も美味しいウチのようなお店はちょっと珍しいかもしれません。居酒屋とはちょっと違う雰囲気でゆったりとした時間を過ごすことができると思います。」
松井店長もおっしゃってましたが、結局飲食店は場所貸しなんですよね。では競合店について聞いてみると意外な答えが返ってきました。
「他所の飲食店が競合だとは思っていません。2時間を過ごそうと思ったら映画を見るとかマッサージもあるし、インターネットでYouTube を見るのが楽しいかもしれません。そんな中で、ウチの店に一人5000円払って2時間過ごしてまた来たいなって思ってもらうために、接客とか料理を洗練させていくだけだと思うんです。」
松井店長は、どんなに忙しくてもお客様との間でちょっと特別な空気感が生まれる時があるといいます。その時が飲食をやっていて良かったと思う瞬間だそうです。これは僕が想像するに、テントで“ガゼボ“をこしらえ、接客しづらいなかでもお客様との何気ないひとことがきっかけで生まれる、お客様と『Cafe Baraka』を一緒になって楽しむ一体感なのではないかと思ったのでした。
お客様一人一人を特別扱いできる作りになっている『Cafe Baraka』は今の時代にビッタリの飲食店だと思いました。それでは今後の展開を松井店長はどのように考えているのでしょうか。
「僕はいろんな業態を経験してきているんですけれども、いつもその店の完成形っておぼろげにあるんです。それを邪魔する要素が色々あるから今はこれぐらいの売上ですよということだと思うんです。それらをクリアして研ぎ澄ましていくと『Cafe Baraka』の完成形はこれだったんだというのが出てくると思います。今はそれを作ってる途中なんです。1年経ってディナーは完成させました。僕らがやりたいのはお昼ですね。お客様がこの空間を100%楽しんでいただくためには、まだまだ考える余地はあると思っています。たとえば、テントごとに1店舗という形で飲食にこだわらずパブリックスペースとして不特定多数の人が行き来する空間として使えそうな気もします。お店を100%使い切るためには、とにかくいろんな人に来てもらうことですよね。お店というのは10人なら10人なりの楽しみ方があります。だったら100人1000人と増えて来るとどんどんつながりができて、新しいお店の新しい楽しみ方が生まれるのではないでしょうか。」
取材協力:「Cafe Baraka」
広島県広島市中区紙屋町1-4-3 エフケイビル3F
TEL:082-236-7767
瀬畑亮介(テンポス広島西店)