商売の原点

ビジネスアスリート 森下篤史

3年前の出来事
俺の車は、スカイラインのGT
未だ12万キロしか走ってないのに、カランカラン音がする。
板金屋の雄二郎によると、スカイラインは、走りは良いが、繊細で毎日磨いたり手入れをする人の車ですよ、森下さんのような無精者の乗る車じゃあない。
2万キロも3万キロもオイル交換をしない様な、無頓着な人に持たせたのが間違いです。
いつおかしくなっても不思議じゃない。走行中に故障するかもしれない。
未だ走れるのに廃車するのは忍びなかったが、仕事の車だし約束の時間に行けなくなることもあると、思い切って傷だらけのスカイライン廃車して買い換えることにした。「雄二郎!俺も勝負かけるぞ、150万くらいのやつを探してくれよ」
「森下さん、この傷だらけのスカイラインをみてください。150万もだしたって、250万だしたって、1ヶ月もしないうちに森下さんだったら、傷だらけになりますよ。5~60万でいいのを探してきますから、その方がいいですよ。」
高いのを売ろうとしないで、結局65万の10年走ったクラウンを薦められた。
あれから3年・・・
昨日駐車場の管理人が、「後輪パンクしてますよ」と言ってくれた。
パンクした事に気がつかないでかなり走ったらしく、ガソリンスタンドで聞いたら、タイヤ交換しないとすり減ってしまったので、このタイヤは使えませんときた。
もともとすり減ってきたから 8月 田舎に帰った時、水窪のガソリンスタンドに4本注文した。
パンクしたからといつて、ここでタイヤを交換すると、スタンドに注文したタイヤをキャンセルしなくてはいけない。
今つけているスペアタイヤの耐久性を検索すると、走行距離100キロまで。
清水の舞台から飛び降りるつもりで、雄二郎にタイヤ交換を頼んだ
水窪のガソリンスタンドに、お盆の時に4本注文してある。
11月に行った時に交換するつもりだから、このままスペアタイヤで2週間くらい走っていたい。
パンクしてからスペアタイヤで既に300キロは走っている。
思い切って 左後輪のタイヤを交換してくれ。と頼んだ。
今日俺が本社にいる間に交換してくれるとのこと。
夕方帰ろうとしてタイヤをみたら、後輪2本新品になっている。
メールを見たら2時頃「再生タイヤの安いのが2本ありましたから、入れ替えておきます」
こっちは頭にきて、「水窪のガソリンスタンドに4本注文してある、一本入れ替えるにしたって、キャンセルしなきゃあならない。とてもキャンセルなんかできるもんじゃあないが、それでも恐る恐るキャンセルを頼むつもりだ。そんな事は雄二郎に言ってある。
知ってるはずじゃないか!」
怒りながら言った。
「分かってます、だけど今着いているタイヤは全部すり減っている。一本だけ入れ替えて、知らん顔してるわけにいかない。
分かってますから、代金は一本分だけでいいです」
「お前も嫌なことを言うなあ、従業員もいない板金屋に、2本新品につけたからって、一本だけで良いと言われて、そうですかって言うわけにはいかない。」
「ガソリンスタンドにキャンセルしてみてください!」
「キャンセルするような奴は、死んだ方が良いというのが、俺の生き方だ。出来るわけないだろう。」
雄二郎は、一本だけでいいですよって言い方が、ふてくされているのでもなく、いじけてるわけでもない。
淡々と言っている。
「この野郎」と言いながら、二本分払った。