爺さんよ、あんたの仕事は「息吹きを与えている」

ビジネスアスリート 森下篤史

毎日毎日引き上げてきた汚い皿を洗って、寒い日は水ん中に手を突っ込んで、冷たかろう。
無神経に積み上げて、倒れる。
何枚か割れたって原価はたかが知れているって事を知っている。
ぞんざいに、皿を扱うようになるのも分からんでもないでもない。
爺さんが手にしている皿は、潰れた店の扉のなくなった棚に、置いてあったものだ。
そっちにまだ洗わないで、重なってる食器は、種類がバラバラで、通路に散らばっていたものを、集めてきた。
だけど爺さんよ!
あんたが丁寧に洗って籠に入れるのと、こんなバラバラじゃあ売れないなぁと、ドラム缶に放り投げるのでは、その一枚の皿の運命が決まる。
割れて埋立地に埋まってしまうか、息吹を与えられて、お客様の食べ物を乗せてもらえるか、あんたの気分で決まってしまう。
毎日同じ事をしていても、「息吹を与えている」仕事なんだって事を忘れるな!
事故で死にかかっている人を、大手術の末、助けた名医と、おんなじ仕事なんだ!
たまにはその事を思い出してくれよ。
皿洗いだろうが、キャベツ切りだろうが、店内案内、注文取り、
自分の仕事の誇りを持つってことは、その仕事そのものに誇りを持つことではなく、出来栄えが 俺には敵わないよ、というレベルに到達することである。
では
自慢と誇りを持つのはどこが違うか。
仕事のレベルの問題ではなく、
人に褒められたいのが「自慢」
自分で極めようと取り組んで、人の評価を気にしないのが「誇り」