立ち飲み大繁盛店「レバーランド」の究極の雰囲気づくり

有名居酒屋チェーンから独立した社長の元でお店の立ち上げから3年経った頃、もともと病気がちだった社長が経営から身を引くことになった。ネバーランドならぬレバーランドの屋号、そして手書きで大きく書かれた“最後の楽園”の文字。

この強烈なインパクトのある店を買い取り、今や6.8坪ながら客単価2,000円で月商400万円をたたきだす。単なる目を引く看板だけではない、繁盛の秘訣を共同代表のひとり、高野氏に伺った。

飲食の世界に飛び込んだものの、あえなく3年でリタイア

僕は高校を卒業すると東京にあこがれて飲食の世界に飛び込みました。大手飲食会社に就職したものの、当時は急速に店舗を増やしていた頃で社員も少なく、朝9時から夜は終電まで、お店と社員寮を行き来するだけで休みも取れず働き詰めの毎日でした。

管理者養成学校では精神的に鍛えられたものの、飲食の厳しい世界を身をもって知り3年半で退職しました。今やっていることをつらいとも思わないのはあの研修のおかげだと今では感謝しています。

しかし、当時は失った自分の時間を取り戻そうといろんな仕事をしながら飲み歩く日々を3年間過ごしました。そんななか、社員教育で有名な居酒屋チェーン「てっぺん」で、お客様に喜んでいただくために一生懸命働く人たちをみて、自分もああいう風に熱くなりたいと、もう一度飲食の世界に戻りたいと思うようになりました。

そんな時に、てっぺんから独立するレバーランドの前社長、山本と知り合い、「絶好調てっぺん」で一ヵ月研修をさせてもらったんです。

てっぺんのプラス思考が蒲田に第二の我が家を生んだ

絶好調てっぺんのどこまでもプラス思考で、店をもっとよくしたいと社員同士が励まし合いながら人材を育てる力はすごいと思います。

しかし、大きな店で6~7人のスタッフをまとめていくにはいいのですが、蒲田ではお客様との距離が全く違いました。絶好調てっぺんでは、地元ではない外からのお客様が非日常の体験を求めて来るのに対して、蒲田という場所は地元色が強いので、日常生活にある飲み屋、ひとりでも毎日寄れてホッとする空間を求めて来る。

だったら絶好調てっぺんで学んだプラス思考は大切しても、それをすべてスタッフに無理やり押し付けるのではなく、ユルくというか、個々のスタッフがある程度自由に考えて行動し、お客様との関係性を大切にする。これが蒲田に合っていると思います。

インターネットの集客サイトにお金を使うなら、お店にお金を使った方がいい。美味しい料理を安く提供して常連のお客様に還元したほうがお客様に喜んでもらえる。

新規のお客様も同様で、次の来店動機にもなります。だからはじめてのお客様でもすぐにお店に溶け込んで、もつ料理を食べておいしそうな顔を見ると「ああ、なんかいいな」って素直に思います。

白レバー鉄板焼き 420円。メニューは基本300円~600円

目の前のお客様に何が出来るのか

店の雰囲気、接客、料理、店の強みはそれぞれあると思いますよ。なかには予約だけで商売が成り立つ店もありますよね。しかし、自分たちの武器は大衆感というか、わいわいしたなかでの居心地の良さだと思っています。

レバーランドは常連さんと新規のお客様とを結び付けて出来上がったコミュニティ、言ってしまえば出会いの場。ですからお客様が社員になることもあるし、常連さんが積極的に人を紹介してくださるのでこれまで人手が足りなかったことは一度もありません。

先月開店した3号店の鳥ランドも実は、お客様のおばあちゃんの休業中の店を使わせて頂いてます。僕たちが蒲田を愛し、蒲田から愛されたように、一所懸命に働くことを僕たちが楽しむことが、ここは最後の楽園なんだとお客様に感じていただけると思うんですよね。

【店舗情報】
最後の楽園 れバーランド
Goen.Co 株式会社 代表取締役 高野 真広氏
東京都大田区西蒲田7-49-12
Tel.03-6715-9618

smiler41号