アホは地球を救う

京都で3店舗の飲食店を経営する株式会社アホウプロジェクト。経営理念に「アホは地球を救う」を掲げ、とにかく明るく、良い意味でアホにしかできない店創りに取り組む、代表取締役、泉川氏のSmiler本誌では語り切れなかったエピソードをご紹介!

アホウプロジェクトが運営する、「炭火焼鳥 アホウどり」にはお客さんが“プッ”と吹き出したくなるような仕掛けが散りばめられている。メニューブックの表紙はエヴァンゲリオンのパロディーだし、アルバイトスタッフのネームには、「オデッセイ」に「オーシャン」「ティーン」と奇妙なネームが当てられている。例えばオデッセイ。この“アホウネーム”の持ち主はアルバイトの本田さん、つまり車のホンダオデッセイから名付けられているということだ。

このアホウネームは、研修が終了した時点でスタッフに告げられる。結構ベタなやり方だが、お客さんとの会話のきっけにもなるし、スタッフ同士のコミュニケーションにも活きているようだ。アホウネームは常連客にも定着しており、新人スタッフのアホウネーム当てをするなど、お客さんがお店を育てる、そんな温かい空気が店内には流れている。

3周年記念ではドリンク100円というイベントを行った。どうせなら楽しくたくさん飲んでもらいたいという理由から、入店時全員に赤白帽を配り、最初は白帽子からスタート、3杯飲んだら赤帽子、6杯以上飲んだらウルトラマン、というように赤白帽アイテム一つでその日は朝まで大いに盛り上がった。「オーナー、今日くらいはお客さんとゆっくり飲んでくださいよ」とスタッフから言われつつも、あまりの盛況ぶりに開店から閉店までの12時間焼き鳥を焼き続け、最終来店人数なんと180名。それ以来、泉川氏のアホウネームは「焼き鳥マシーン」だ。

アホウネームから始まり、店内のイベントにおいても、めちゃめちゃ楽しい雰囲気づくりの土台になっているのが取材中に何度も出てくる「アホ」というキーワード。もともと人を楽しませることが好きで大学在学中からコントや漫才をしては人を笑わせて、卒業後はNEC(吉本興業)に行きお笑いコンビとして一年半活動をしていたという。ただ夢半ばにお笑いは諦め、外食の道へ進むこととなる。当時勤めていた焼肉店に入社し、店舗の立ち上げなどに携わるうちに、いつしか店を持ちたいと漠然と思うようになった。

そんな時、独立の決め手となったのが、「結婚式告別式」だ。自身の結婚が式の1ヵ月前に破綻してしまった時に、泉川氏を励まそうと友人が企画したのが“泉川氏、結婚式告別式”だった。「50人くらいの友人や知人が集まってくれて、しかも横断幕まで作ってくれたんですよね。本当にアホな友達だけど、それが嬉しくて、めちゃくちゃ元気づけられたんです。だから、そんな大切な友人たちが楽しく過ごせる店を作りたい、そして、大切な人が大切な人を呼べる店を持ちたいと思いました」と独立の経緯を話してくれた。

2号店の求人募集には、2週間で70人もの応募が来たという。求人のキャッチフレーズは、「金髪、ピアス、アフロOK!」、本気なら容姿は関係ない、本気で楽しく働ける職場だということをしっかり伝えたら、元気な仲間が集まってくれたという。「ハゲでもOKですか?」とハゲ頭を見せながら問う編集長にも、「もちろんOK、即採用!!」と最高の笑顔とノリで取材陣をも楽しませてくれる泉川氏、私たちも「アホ」の仲間に少し入れてもらえたような嬉しい気持ちで取材先をあとにしたのであった。

株式会社アホウプロジェクト
代表取締役 泉川武士氏
http://ahou.co.jp/
Smiler37号掲載