あさくま店長インタビュー 60店舗の一位 になった狭山店川田店長

今年4月1日に、この店の店長になったばかりの川田小百合さん

高校3年生のとき、留学費用を稼ぐために、半年間ほど、この店でアルバイトをした。接客業は初めてだったが、お客様から「あなたは愛嬌があって可愛いわね」とほめられ、感動したそうだ。

高校卒業後、働きながら英語を学ぶワーキングホリデーという制度を利用して、オーストラリアのシドニーに1年間、留学した。帰国後に、狭山店に挨拶に来たら、「まだ仕事していないのなら、戻っておいでよ」と誘われて、再度、ホールのアルバイトに入った。
23歳で社員登用され、やがて仕事は、あさくま一本に絞る。あさくまで習い、覚えた接客業の面白さに背中を押されたのだ。24歳で店長候補に抜擢され、店長候補の勉強会に参加した。

——勉強会では、一度だけ、泣いてしまったそうですね。

川田 悔し泣きでした。店の接客の良し悪しを抜き打ちで調査する「覆面調査」という実行項目があるんですが、その初級で3カ月連続で170点以上取ると、中級に上がれます。狭山店は、2014年の6月、7月と合格点を取った。ところが、8月で少し点数を落として、中級に上がれなかった。悔しくて、落ち込みました。

——たまたまその日は、店員が少なかったからとか。

川田 言い訳は一切、通用しませんから、全部、私の責任です。狭山店は、ずっと覆面調査の点数が低かったんですが、私はパートさんに呼びかけて、覆面調査項目の穴埋めテストをやってもらったりして、3カ月間、合格点を絶対取るぞという意気込みで取り組みました。3カ月目で点数を落としたときは何より、頑張ってくれたパートさんに申し訳なかった。

——店長への次のステップは。

川田 秋ぐらいに勉強会は終わって、後は、狭山店とは違うお店で、新店の店長見習いをやることになっていたんです。三重県の津高茶屋店に配属になりました。2014年の11月28日に店はオープンしました。

——店長見習は、最終テストなんでしょうね。

川田 予想外の厳しいテストになりました。津高茶屋店は客席が24席しかない小さな店だったので、月間売上の予定は700万円でした。それなのに、開店早々から1400万円ペースでお客様がいらした。売上は予定の倍で、キッチンもホールもまるで人が足りない。夜は片付けが終わらないので、私1人で12時、1時まで残業しました。朝は7時から店に出て、前日の片付けの残りをやり、その日の準備を進めておく。パートさんの勤務は10時からでしたが、それから準備を始めると、11時のオープンには絶対に間に合わなかった。

——誰よりも早く店に出て、誰よりも遅くまで働いたんですね。

川田 もう何も考えられなくなって、やるしかないという思いだけでやっていましたが、3週間くらいたったときかな。ある一人のパートさんが、たまたま朝に、少し早く出て来て、私の仕事ぶりを見て、驚いたみたいなんですよ。毎朝、もう想像以上にすごい量の食材が届くので、それを何時間もかけて冷蔵庫とかに収納する。その仕事を見たパートさんは、ぼそっと、私の耳元で、「川田さん、これいつも一人でやってたんですね。手伝いますよ」と言ってくれました。それを聞いて、私、思わずうるうるって来ちゃって。その頃から、パートさんたちが、本当に一生懸命になって、私を支えてくれるようになりました。

——若い店長見習いが、あそこまでやっている。私たちもやろうと、スイッチが入ったんですね。

川田 シフトも、人がいなくて困っていた時間帯のところに入ってくれる。朝は、時間差で出てきてくれるようになったので、仕事の分担も効率良くできるようになった。パートさんの側から、こうしたほうがいいのではという提案もしてくれる。お客様からこう言われたとか、ここで困ってるとか、どんどん意見や感想も言ってくれるようになりました。おかげで、お店って、人と人が支え合って、つくっていくものなんだということが、心の底から分かりました。自分が慣れ親しんだ狭山店にそのままいたら、あそこまでの感動も、発見もなかったと思うんですよ。あの店で私、変わったんです。12月には、キッチンに待望のスタッフが入りましたし、12月末ごろになると、ようやく全体がまとまって、店がうまく回るようになってきました。おかげで、その年のクリスマスと翌年正月の3が日に、1日の売上が100万円までいったんです。24席で100万円ですから、すごい忙しさだったけれども、みんなの自信になりました。

——でも結局は、狭山店に異動になって、店長に?

川田 こちらに来て、4月1日から店長になりました。

——店長になってすぐ、母の日に、ピーカンナッツを48個も売った。さらに、5月には、月間で558個も売って、トップを取った。
6月には700個売ってダントツの一位です。ついでに売ったコーンスープも一位になりました。

川田 店長会議のときに、必ず朝礼でピーカンナッツのトーク練習をしろと言われたので、毎日、やりました。営業中は、お客様に、ピーカンナッツをどんどん試食してもらう。そのときに、「肌の艶を保つ、アンチエイジングのお菓子です」というトークをする。帰りのレジでも、スタッフに「ご試食されましたか」と、声をかけてもらう。必要なら、「大阪でしか手に入らないチョコですけど、400円でお土産にできますよ」というトークをする。朝礼のトーク練習、試食、レジでの声かけ。この3つを日々にやっていたら、どんどん売れるようになって、母の日には48個も売れたんです。売れると、スタッフみんなが楽しくなるし、自信も出てくる。「何個売れたから、もう少し頑張ろうよ」と励まし合って、もっと売れるように声かけをする。

そうこうするうちに、パートさんが自主的に100円ショップでリボンを買ってきて、ギフトらしく、きれいに飾りつけてくれるようになりました。ピーカンナッツの2個セットとか、コーンスープとピーカンとか、いろんなコンビセットを5つくらい作って置いたら、それもお客様から好評でした。5月には、ピーカンナッツが500個以上売れたので、うれしくて、そのことをお客様にお伝えすると、「そんなに売れたの」と驚いて、試しに、買ってくれるお客様も出てきました。今は、ピーカンナッツを目当てにご来店されて、1人で5つも6つも買って帰るお客様もいらっしゃいます。

——狭山店は、空間がゆったりしているから、面白いイベントもできそうですね。

川田 ピアノが置いてあるので、できるだけ敷居の低い、ピアノの演奏会をやりたいなと思っています。小さい娘さんとかが、間違ってもいいから、習ったばかりの曲を弾くとか、そんな雰囲気の演奏会があってもいいのではないかと。あとは、友人の薦めで、造花でフラワーアレンジをするお花の会も始めました。そういうイベントごとを、月に1回くらいずつやりながら、この店を、楽しいコミュニティの場にしていけたらと思っています。